周りの目が気になる“奇声・大声” 行動の意味を言語聴覚士が解説! コラム詳細|ふぉぴす

周りの目が気になる“奇声・大声” 行動の意味を言語聴覚士が解説!

言語聴覚士*はる

2025/09/29

はじめに

買い物中、静かな公園、家の中。

どこであっても突然響く子どもの大きな声や奇声に、戸惑った経験はありませんか?

「なんで今、こんな声を出すの?」
「周りの目が気になる…」——。

そんな思いを抱える保護者の方は、決して少なくありません。

今回は、子どもの奇声や大声にまつわる「困りごと」と、その背景にある理由、そして私たち大人ができる関わり方についてご紹介します。

子どもの奇声や大声について悩まれている方の参考になれば幸いです!

そもそも、なぜ奇声や大声を出すの?

子どもが突然大きな声を出すのには、さまざまな理由があります。

① 感情を表現している

嬉しさ、驚き、退屈、不安など、子どもは言葉だけで感情を表現するのが難しい時期があります。特に言葉の発達に遅れがあるお子さんは、自身の気持ちを表現できないので、その代わりに、声を出すことで感情を放出していることが少なくありません。

②注目を集めたい

「こっちを見てほしい」「構ってほしい」という思いが、奇声として現れることもあります。特に忙しい大人の気を引く手段として使われます。理由としては大きな声を出すと、目を向けてもらえることなどがあげられるのです。

③感覚の楽しさから

一部の子どもは、自分の出す音そのものを「面白い」と感じることがあります。声が響く感覚や、自分の声への反応が楽しくて繰り返します。

周囲の目とどう向き合う?

公共の場で大声を出されると、どうしても気になるのが周囲の視線ですよね… 「しつけがなっていないと思われるのでは?」と不安になるのは自然なことです。

しかし、すべての人が否定的な目で見ているわけではありません。

多くの人は「子育てって大変だよね」と思っているものです。

それでもつらい時は、こう考えてみてください。

「今はしんどいけれど、この子が社会の中で育っていくための大切な過程なんだ」 少しだけ視点を未来に向けてみると、気持ちに余裕が生まれます。

しかし、あまりにも頻回に大きな声を出されると、いくら気持ちに余裕が生まれて見守れても限界があります。 我慢をしなければと、無理をしすぎず、検診を行っている施設かかりつけの病院など専門機関に一度相談してみるのもよいでしょう。

困りごとから「関わり方」へ

「困った行動」と捉えるだけでは、親子ともに疲れてしまいます。 大切なのは、行動の“背景”を理解し、「どう関わるか」を探すことです。

◎声を出す前の様子を観察してみる

疲れている?退屈している?不安そう?など、前兆に気づけると対応しやすくなります。

何かを要求するときに大きな声を出している様子であれば、要求の言葉を繰り返し伝えていくとよいでしょう。また、不安そうであれば不安を取り除けるように触れ合ったり、退屈そうであれば一度手を止めて関われるときに関わったりしていくことがおすすめです。

◎声の代わりになる手段を伝える

「声を出さずに、手を握ってくれたら分かるよ」など、代替手段を教えてあげましょう。

これはある程度言葉が発達し、理解力があるお子さんにのみの対応策となります。言葉がまだ全く話せず、相手の言っていることを理解することも難しいお子さんである場合は、この対応策で対処することは難しいでしょう。

◎落ち着ける環境をつくる

音が響かない場所に移動したり、安心できるおもちゃやグッズを持たせたりするのも効果的です。

また一度ゆっくり抱きしめる時間をつくることもおすすめです。その子がもし言葉を話せる子なのであれば、少し場を離れて向き合ってゆっくり話してみるとよいでしょう。

最後に

奇声や大声が続くと、周囲の人に気を使い、子どもに対しても悩みや不安を持つので心も体も疲れてしまいますよね。

でも、それはそれだけ「子どもを大切に思っている証拠」でもあります。

子どもが安心して声を出し、大人がその声をどう受け止めるか——

その積み重ねが、信頼関係を育てていきます。

もし、ひとりで抱えきれないときは、遠慮なく周囲に頼ってください。

支援センターや保健師さん、保育士さんなど、話を聞いてくれる人はたくさんいます。

どうか、あなた自身の心の声にも耳を傾けて、無理をしすぎず過ごしてください。

言語聴覚士*はる

経歴:言語聴覚士歴:10年目

2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに

せのびーる

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