【保育士が教える】外出先でのパニックについてどうやって対策するべき? コラム詳細|ふぉぴす

【保育士が教える】外出先でのパニックについてどうやって対策するべき?

保育士*まっつん先生

2025/08/25

はじめに

お子さんが低年齢の頃、特に小学校低学年までは日常的にパニックを起こしやすいといわれます。
これは生活経験の少なさや、周りが「善かれ」と思って行ったことが、本人にとって予想外だったり自分なりの形を崩したりということがきっかけになるからです。

今回は、この「外出先でのパニック」についてお話していきます

低年齢児のパニック

低年齢児がパニックを起こしやすい要因として、生活経験の少なさがあると、先にお話ししました。
生活経験が少なく、1度経験したことがすべてであると認識しがちなため、前回の経験と異なることにパニックを起こしてしまうのです。

例えば...

電車が定刻に来る経験ばかりしていると、不意の遅延を受け入れられずパニックになります。
この経験を「不安要素」として強く印象付けてしまうと「電車は嫌だ」という認識に偏ってしまうことが考えられます。

また、生活場面でも同様に、同じことを繰り返しがちであるため、家庭内でも不意のことが起こるとパニックを起こしてしまいます。

例えば...

おもちゃがあるべきところになかった時、いつもと違う生活の流れになったときなどにパニックになりがちです。

日常の対応

それでは、どのような対応が必要でしょうか。
パニックを起こした時の対処法は、子どもによって異なりますし、また同じ子どもでも状況によって対応は変わります。

まずは、パニックにならないような日常の生活が大切です!

それには、日ごろから子どもの様子を細かく観察し把握しておくことが大切です。
何が好きで、どんな手順で、どんな遊び方をしているか、生活の中でのこだわりの把握や初めて物事への反応など、様々なことの把握が必要です。

細かなところが把握できていると、徐々に「何を」きっかけにパニックを起こすのかがわかってきます。生活の流れなのか、モノの位置なのか、働きかけなのか、等パニックを起こす要因の傾向がわかるようになります。

そこでまず大切なのは、働きかけによってパニックが引き起こされるのであれば、
たとえ「善かれ」と思っての働きかけでも止めましょう。

我々が思う「善かれ」と思ってのことでも、本人にとっては受け入れにくいことがあるのです。

例えば...

ゆで卵を食べるとき、塩やマヨネーズをかけたほうがおいしいからと、
「おいしくなるから、塩(もしくはマヨネーズを)かけるよ」と言った途端にパニックになることがあります。

私が過去に関わった子の中には、給食が「ナポリタン」と聞いていたのに、
実際に出てきたものが「ボンゴレ」だった時、パニックを起こし「ケチャップをかけて」とアピールしてきました。

ボンゴレにケチャップをかけてどんな味になるのか躊躇しましたが、パニックが収まるならとケチャップをかけました。
試しに食べてみると言い表しようのない味でしたが、その子のパニックは収まり安心してボンゴレのケチャップがけを完食しました。

この例は「善かれ」と思った働きかけではありませんが、本人の抱いているイメージを崩さない対応をしたことは、「善かれ」と思っても、しないことと同じです。

本人の持っている「イメージ」や安心できる「流れ」を守ることが大切なのです!

こだわりの尊重

本人が抱えている「こだわり」は、我々から見ると生活しにくいように思えますが、本人にとっては「安心」につながっていることも多いため、尊重することが大切です!

例えば...

「〇時には△をする」
「〇〇を使う遊びの時には△△と一緒に使う」
「ごはんは白いまま食べる」

などに対して
「〇〇した方がいいんじゃない?」
「△△より□□の方が面白いよ」
「ごはんに◇◇をかけて食べたほうがおいしいよ」

などと言わず、むしろ子どもに言われなくても、望む形を提供することです。
そうすることは、本人に対して「尊重している」ことを伝えているのと同じことになります。

そのようなことが日常的に続くことで、子どもは親に対しても「安心」を感じるようになり、不安なことがあったとき「頼りにする」ようになります。

パニックを防ぐ

日常的に子どもの様子を具に観察し把握しておくことで、パニックになりそうな要因に気づけるようになります。
事前に不安要素を排除し、パニックになることを防げるようにもなります。 また、どのようにすれば落ち着くかもわかるため、
落ち着くための小物を用意して置いたり、代替案を考えておくことも可能になります。

パニックの回避

日常的に本人が「安心」できる存在になることで、パニックになったときに「頼る」ようになります。

一般的にパニックになると、癇癪と違い「誰か」に「何とか」してもらおうとはしません。

自分の中だけで「不安」や「葛藤」が渦巻き「どうしようもなくなる」ため、
自傷したり泣き叫んだりしても「誰か」を頼りにすることはないのです。

しかし、日常生活の中で「不安」にならないよう配慮してきたことは、本人にも伝わっているため、「不安」になったとき、「頼り」にするようになるのです。

まとめ

このように、パニックにはその場で対処するのではなく、日常の積み重ねが大切なのがお判りいただけたかと思います。

パニックになった場面を繰り返し経験させるような「乗り越えさせる」「慣れさせる」ことがむしろ不安を大きくさせてしまうことも考えられますので、子ども理解を進め、不安を排除し、「安心できる存在」となることを心がけていきましょう!

保育士*まっつん先生

経歴:保育士25年(保育所、児童発達支援、就労継続支援など)。現在は大学教員です。

せのびーる

保育士*まっつん先生さんの他の記事はコチラ

もっと見る

関連コラムのご紹介

もっと見る

戻る