理解はしてるけど発語無し?どうサポートすればいい?
言語聴覚士*はる
2024/06/09
子どもの「言葉」の発達は、パパやママにとってとても気になる部分ですよね。「まだ言葉が出ない」「なんとなく言っていることは理解してそうなのに、言葉が少ない」など様々な悩みがあるのではないでしょうか?今回は、「言葉は理解できてそうなのに、あまり話さない」といった悩みについて、その理由とおうちでできる支援方法をご紹介いたします。
まずはじめに…
言葉の発達段階の子どもには、「言われた言葉をしっかり理解できている子」と「周りの状況をみて何となくこなしている子」がいます。言葉は理解できているように見えるのに、話すことが少ない子は後者のことが多いです。 そのため、「言葉は理解できているように見える」お子さんを目の前にしたとき、「本当に言葉ひとつひとつを理解できているかどうか」を考える必要があります。
言葉の理解を確かめる方法
単語:言葉と物の一致を確かめる
おもちゃやイラストの描いているカードをいくつか並べて、ものやイラストの名前をいいます。その言われたものと同じものを選択できるかどうか確認します。
短文:2、3語文の指示を伝えて、その通りに行動できるかを確認
例えば、おままごとをしながら「ぶどうを切ってみて」と伝えて、ぶどうを選択し切れるかどうかをみます。「 その文章を少しずつ長くして、どの程度の理解ができるかどうか、複数の指示理解(「ブドウとリンゴを持ってきてください」など)はできるかを調べます。
年齢にもよりますが、ある程度言葉を理解している様子なのに言葉が出てこないお子さんが、単語や短文の理解が出来ていない様子であれば、言葉の理解力が弱いことが言葉の出ない原因の1つの可能性があります。
気をつけること
これらを行うときは、その子の興味関心のあるもので関わることが重要です!もし、違うものを選択しても、「こっちじゃないの!」と怒ることはなく、上手に選択できたことを褒めて「今言ったのはこっちだよ」と正しいものを見せるなどの関わりをします。子どもは「間違えてしまった」という失敗体験が続くと、「やりたくない」「楽しくない」と意欲が下がってしまいます。そのため、できるだけ「楽しい!」という気持ちを経験させて、本人の意欲が落ちないように関わることもとても大切です。
ご自宅で自分の子どもとこのやりとりをするとき、思わず「正しいものを選ばせないと!」と思ってしまうパパやママも多いでしょう。ただ、この確認は子どもの集中力や興味関心、体調や聞き手の聞き方など様々な要素が結果に影響することがあるので、「できないので言葉がわかってない!」と思いすぎず、親子の関わりの1つとして楽しんでみてくださいね。
発語を伸ばすにはどうすればいい?
子どもと家で過ごすときは、できるだけ子どもの「伝えよう」という意欲を引き出してあげると良いでしょう。例えば、家にいて子どもがお腹を押さえていたら「お腹痛いの?トイレ行こうか」と誘導したり、「お腹すいたの?ご飯作るからね」と子どもが何も言わずとも意味を理解して行動したりすることはありませんか?
こういったやりとりは、親子の関係としてはとても素晴らしく、子どもも親に対して「この人は分かってくれる」と安心感をもつと思います。一方で、「何も言わなくても分かってくれるんだ!」と話さなくても伝わると学んでしまうことがあります。そのため、「どうしたの?」だったり、「お腹痛い?すいた?どっち?」などと言葉を使う機会を増やすような問いかけをしてあげることも、発語を伸ばすための関わりでは重要となります。
また、自分が伝えた言葉に相手が反応したり、要求したものが返ってきたりすると、子どもは「もっと伝えたい!」と意欲が増し、言葉や動作で伝えようとするでしょう。 自分のできる手段で相手に何かを伝えようとすることが、コミュニケーションの発達にとってとても素晴らしいものなのです。
まとめ
今回は、「言葉は理解している様子なのに話さない」子どもに対して、なぜそのようなことが起きているのかの理由と家での取り組みや関わり方についてご紹介致しました。どうしても周りの子と違う、遅れていると感じると焦ってしまうと思いますが、今の自分の子どもの能力に合わせた関わりを考えることが大切です。
そして、何より子どもがのびのびと参加できることが一番なので、「できる」「できない」にとらわれすぎず、頑張って伝えようとする姿やこちらの取り組みに応えようとする姿をたくさん褒めて、「楽しい!」「もっとやりたい!」「もっと伝えたい!」といった気持ちを引き出していっていただければ、その子なりのコミュニケーション方法を見出せるのではないかと思っております。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
言語聴覚士*はる
経歴:言語聴覚士歴:10年目
2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに