癇癪や自傷行動をやめさせるには?子どもへの適切な対応と受け止め方 コラム詳細|ふぉぴす

癇癪や自傷行動をやめさせるには?子どもへの適切な対応と受け止め方

公認心理師*やまおさん

2026/01/28

子どもが思い通りにいかない状況では、「うまくいかない」「悔しい」「嫌だ」といった感情を言葉で表せることが理想です。 しかし、言葉にするのが難しい場合、癇癪を起こして物に当たったり暴れたりしたり、頭を壁にぶつけたり手をかんだりして自傷行動として感情を表す子もいます。

このとき、大人が動揺して子どもの望む通りに行動すると、子どもは自傷や癇癪をやめられなくなってしまいます。重要なのは、こうした行動では望む結果が得られないことを体験させることです。
ここでは、癇癪や自傷行動が出た場合に、落ち着いて対応するためのポイントをご紹介します。

目次

自傷や癇癪が起こる理由と大切な考え方

言葉で感情を表現できないこともある

子どもが「悔しい」「嫌だ」「思い通りにいかない」といった感情をうまく言葉で伝えられない場合、癇癪や自傷行動として表れることがあります。
例えば、物を叩いたり暴れたりする、頭を壁にぶつけたり手をかんだりする行為は、子どもなりの「感情表現」です。 このような行動は決してわがままではなく、言葉で自分の気持ちを伝えられないことによるサインと理解することが大切です。

大人が動揺すると行動が強化される

子どもの自傷や癇癪に対して大人が動揺して反応すると、子どもはその行動で注目を得られることを学び、結果として行動が強化されてしまいます。
重要なのは、大人がまず落ち着き、行動に振り回されないことです。
「この方法では望む結果が得られない」と子ども自身に体験させることが、癇癪や自傷行動を減らす第一歩になります。

自傷・癇癪への具体的対応ステップ

まずは行動を止める(安全確保と具体的指示)

「やめなさい」と伝えるだけではなかなかおさまらないことが多いので、「まずはこっちにおいで」とか「そこの椅子に座ろうか」など、大人がその時に子どもにどうしてほしいのかを具体的に伝えましょう。この際に、大人側が落ち着いて伝えることが大切です。

自他を傷つける行為などで、行動を至急辞めさせる必要がある場合に関しては、「あなたを守るために、このままの状態が続くのであれば、~秒後に体を止めます」と予告した上でフォールディング(体を抱え込む)しましょう。
相手が小さい子どもであれば、大人一人で十分ですが、相手の体が大きい場合などは複数人で対応しましょう。また、フォールディングする際には、毛布などを使うと有効です。

止められたらすぐにほめる

時間がかかってでも、大人の指示に従ったりして、行動をやめたら、その時点で「よくやめることができたね」と評価してあげましょう。
この時点で、自傷や癇癪に対して叱ってしまいがちですが、大人から「やめなさい」と言われてやめたのに叱られたとなると、その後は、なかなか言うことを聞いてくれなくなります。

また、行動をやめた後に叱られるということが学習されてしまうと、子どもも、「この後、叱られるのは嫌だな」という思いが生まれてしまって、
その行動をやめることに抵抗ができてしまいます。

どう行動してほしいか具体的に伝える

大人が、その子のどのような行動を「自傷」や「癇癪」として不適切だと思っているかを教えた上で、同じような状況になった際に今後はどう行動してほしいのかを、具体的に伝えます。
必ず、肯定文で「~しましょう」と伝えます。「~してはだめ」という否定形で伝えてしまうと、新しい行動の獲得に結び付きにくいためです。

具体的というワードを多用しますが、抽象的な指示では、それを理解しにくい子どもがいるからです。
「ちゃんとしなさい」と言われても、何が「ちゃんとする」なのかが分かりにくいですし、大人でも定義が人それぞれ異なります。そのため、必ず具体的に伝える必要があります。
適切な方法は場面ごとに異なりますが、基本的には自分の気持ちや意見を言葉で伝える、ということが土台になるでしょう。

大人がお手本を見せ、やらせてみる

言葉で「~しましょう」と伝えても理解しにくい子どももいます。できれば、大人がまず見本を見せてあげることも有効です。
見本を見せた後に、すぐに子ども本人にやらせてみて、うまくできていたら評価してあげることで、行動として定着しやすくなります。

適切な行動をしたら評価・褒める

これは④にも通じますが、子どもが適切な方法をとった時に、すぐに評価してあげることが大切です。
「そんなのできて当たり前」で大人がスルーしてしまっては、行動として定着しません。

また、子どもは「大人が注目した行動」を繰り返しやすいことが分かっています。
自傷や癇癪に対して大人が叱る等して反応する一方で、適切な方法を取っている際に大人が無反応であれば、結果的に、子どもは自傷や癇癪を繰り返しやすくなってしまいます。
叱るという行為も、大人から子どもへの注目の一つだからです。

落ち着いた後に損や影響を一緒に振り返る

これは落ち着いてからで良いのですが、自傷や癇癪という方法を取ったことで、子ども本人にとって、どんな損があったかを一緒に考えてみましょう。
大人に叱られた、楽しい時間がなくなった、行きたい所に連れて行ってもらえなかった、自分のおもちゃが壊れてしまった等が出てくるでしょうか。
ここでも、大人は感情的になるのではなく、一緒に落ち着いて考えて、自傷や癇癪という方法を取っても良いことは無かったということを伝えてあげましょう。

対応時の心構え

大人自身が落ち着くことが最優先

子どもが自傷や癇癪を起こすと、大人もつい感情的になりやすくなります。しかし、まず大切なのは大人自身が落ち着くことです。
深呼吸をする、声のトーンを穏やかにする、心の中で「落ち着こう」と意識するだけでも、対応の仕方や言葉が変わり、子どもも安心して気持ちを整理しやすくなります。
大人が動揺せず安定して対応できることが、子どもにとって安心感となり、自傷や癇癪行動を抑える第一歩となります。

短期的な結果ではなく長期的な学習を意識する

自傷や癇癪をすぐにやめさせることだけを目的にすると、子どもも大人もストレスが溜まりやすくなります。重要なのは、子どもに「適切な行動を選ぶ経験」を積ませることです。
一度や二度うまくいかなくても、繰り返し適切な行動を見本として示し、褒めることで、少しずつ行動が定着していきます。
短期的な成果にこだわらず、子どもが自分の感情を言葉で表現できる力や、落ち着いて行動する力を長期的に育むことを意識しましょう。

公認心理師*やまおさん

経歴:臨床心理士、公認心理師

児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。

せのびーる

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