多動かも?子どもの落ち着きがない行動への接し方と受診のポイント
公認心理師*けい先生
2026/01/21

子どもが元気で活発だと親はうれしいものですが、じっとしていない、多動、落ち着きがない、衝動的な行動などが続くと心配になります。幼稚園や保育園での行動を見て、発達障害やADHDが気になる方もいるかもしれません。
今回は、公認心理師が落ち着きがない子どもへの対応や受診の目安を解説します。
目次
子どもが落ち着かないときに考えられる原因

基本的に子どもは長時間座っているのは難しく、落ち着かないものです。お子さんにとっては、様々なことに興味を持ち、見たい、触りたい、やってみたい、といった気持ちは、成長、発達には大切なことです。
ですが、就園・就学を迎えると、3歳なら3歳、6歳なら6歳なりの社会性を発揮し、集団生活の中でのルールを守り、気持ちや行動の調整ができるようになります。これは、集団生活の経験から身につけることもありますが、脳の発達などの影響もあります。
脳の発達の影響で刺激を選べない場合
多くの人の脳は必要な情報だけをピックアップするようにできていますが、落ち着きがない子はこの刺激の取捨選択をする機能がうまく働いていない可能性があります。
もう一つの可能性としては、脳の覚醒状態が高かったり、低かったりして、調節が難しいという場合です。脳のアクセルとブレーキをかける機能が発揮できないため、落ち着きのない行動につながります。
自己刺激行動による多動
感覚が鈍感な「感覚鈍麻」(寒さや痛みなどの感覚を感じにくい)のお子さんや、バランス感覚の「低反応」(バランス感覚を感じ取ることが苦手)なお子さんの脳は、脳に刺激が足りないと感じ、自己刺激行動を求めます。
飛んだり跳ねたり、常に動いて刺激を求めるため、落ち着かなくなります。
環境の変化や心の要因
今までは気にならなかったのに急に落ち着かなくなった、というような様子なら、環境の変化やストレスになる出来事といったことが原因かもしれません。
また、親や友達の注目を得るために落ち着かない行動を取るお子さんもいます。
ADHDなど発達障害の可能性
発達障害の傾向があると、その障害の特性が原因で落ち着かない行動になる場合があります。様々な工夫をしても、生活の中で困ることが多いというお子さんは、発達障害の一つである「ADHD(注意欠如・多動症)」かもしれません。
ADHDは、脳機能の問題で、多動性や衝動性があり、行動がコントロールできないという発達障害の一つです。
脳機能の問題であるため、お子さんの努力や我慢が足りない訳ではなく、お子さん自身、自分の行動がコントロールできず、困っている可能性があります。
家庭でできる落ち着きのサポート

脳の発達の影響なのか、自己刺激行動なのか、環境の変化などのストレス要因なのか、ADHDなのか、また全く別の問題なのか… 原因が分かれば、お子さんに合った対応がしやすくなります。
落ち着きのないお子さんは、大人から注意をされることが多く、「どうせ僕は…」「自分はダメな子だ」と自己評価が下がっていきます。気をつけているのにできない、と感じているお子さんにとっては、「子ども自身の努力の問題ではないかもしれない」「何か他に理由があるのかもしれない」という視点が助けになります。
生活リズムを整えて脳と身体を安定させる
睡眠がきちんと取れているかどうかは、脳の働きに影響します。覚醒状態のコントロールが難しいお子さんは、眠りが浅かったり、睡眠時間が短かったりすることがあります。
夜はなるべくスマホやゲームの画面を見る時間を減らして早めに寝られるようにすると、脳への刺激が減り、睡眠時間も確保できます。
刺激を減らし静かな環境を整える
もしも情報の取捨選択が苦手なようなら、掲示物が多かったり、騒がしい環境だったりするだけで落ち着かなくなります。
視覚的、聴覚的な情報を減らし、静かな環境を整えるようにします。学校では、後ろの方の席になると他の人の動きが目に入り、落ち着かなくなりますので、前方の席にしてもらえるとよいかもしれません。
体を動かして適度な刺激を入れる
トランポリンをしたり、思いきり走ったりした後は、むしろ行動が落ち着くというお子さんがいます。お出かけ前に思いきり動くと、気持ちもスッキリして出かけられます。
ストレスになっている環境を見直す
ストレスの強い状況で生活している様子なら、その環境を調整する必要があります。
このような時は叱ると逆効果です。どのようなことがストレスになっているのか、一緒に考えてあげましょう。
受診の目安と相談先

子どもの落ち着きのなさが気になるとき、どのタイミングで医療機関に相談すべきか迷う方も多いですよね。ここでは、受診を検討したほうがよい状況や、相談できる窓口について整理してお伝えします。
医療機関を受診するとよい状況とは
受診を考える目安は、以下のような場合です。
- 家庭や園・学校での生活で困ることが多い
- 親や周囲の大人も対応に苦労している
- 社会生活で不便やトラブルが目立つ
- 多動や衝動的な行動が目立ち、日常生活に支障がある
こうした状況では、専門医による診断や対応の助言が有効です。ADHDなどの特性がある場合は、医療機関での評価や場合によっては薬物療法が生活の助けになることもあります。
受診は子どもの「努力不足」を責めるためではなく、生活を整え、安心して過ごせる環境を作るための一歩です。
相談できる窓口や専門家の活用
医療機関以外にも、子どもの発達や落ち着きのなさについて相談できる窓口はあります。
- 保健センター
発達相談や育児支援の窓口 - 教育相談センターやスクールカウンセラー
園や学校での行動・学習面の相談 - 公認心理師・臨床心理士
家庭での対応方法や心理面のサポート
迷ったときや不安なときは、まず相談することが大切です。専門家と一緒に状況を整理することで、子どもにとって安心できる生活環境を整える手助けになります。
おわりに

落ち着きがない原因はひとつではない
子どもの落ち着きのなさの原因はひとつだけではありません。もしかすると脳の問題かもしれませんので、叱ったり注意したりし続けていると、お子さんの自信がなくなっていきます。いくら対応を工夫しても改善されないことがあります。このような時、本人も苦しい思いをしているかもしれません。
受診を考える際、迷うことがあれば、保健センターや教育相談、スクールカウンセラーなどに相談してみましょう。

公認心理師*けい先生
経歴:公認心理師 27年目
心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。




