3歳でもまだ大丈夫?言葉の出ない子に出来るコト
言語聴覚士*はる
2024/06/24
3歳を過ぎてくると、子どもはたくさんの表現力を学びつたない言葉がある中でも、少しずつ会話のやりとりを楽しめます。周りのお友達はどんどんお話をしているのに、自分の子どもは話さない。こんなとき、パパやママは不安になりますよね。そこで、今回は「3歳の言葉の出ない子にできるコト」についてご紹介いたします。
3歳で言葉が出ない要因は?
3歳の子どもの言葉が出ない要因
3歳の子どもの言葉が出ない要因は全部で4つあります。
①聴覚の問題
②発達の遅れ
③口の機能の問題
④個性
子どもは周囲で話している言葉を聞いたり、自分に話しかけられている言葉を理解したりすることで、言葉を話すようになります。 ただ、この要因のどこかにあてはまったり、それぞれの要因が組み合わさったりという理由で子どもの言葉が遅れることがあります。
①聴覚の問題
聞こえに問題があると、言葉の発達に影響を及ぼすことがあります。パパやママの声かけに反応しなかったり、日常の音への反応が薄かったりすると、耳に何らかの症状が出ている可能性があります。呼びかけても反応が薄い、TVの音を大きくしても聞こえない様子などがみられたら、聴覚の問題を疑い、近くの病院や地域の保健所にご相談してみてくださいね。
②発達の遅れ
3歳児が話さない要因として、発達の遅れが疑われる場合もあります。言葉に特化して遅れがみられることもあれば、それ以外の症状も組み合わさることがあります。
・目が合わない
・相手の意図を理解できていない
・集中力が低い
・落ち着きがない
・癇癪が多い
・集団生活に支障がある
・手が出てしまう
・こだわりが強い
上記の症状があれば「絶対に発達障害」というわけではありません。またこれがないから「絶対大丈夫」ということもありません。これ以外にも気になる症状が続いたり、これらの気になる症状が一定期間続くようであれば、まず専門知識のあるスタッフがいるところに相談に行ってみるとよいでしょう。
③口の機能の問題
言葉は話しているが聞き取りにくい、ろれつが回っていないなどの症状が気になるときは、口の機能の問題が関係しているかもしれません。舌が短いや歯並びの問題で口が閉じられないなどの器質的な要因だけではなく、口や舌の使い方がうまくできない、息の吐く方法がわからないなどの要因で言葉が不明瞭になります。そういった症状が続くときは「言語聴覚士」という言葉の専門のスタッフがいる療育や病院で発音の練習に取り組むことで改善する部分もあります。
④個性の要因
3歳の子どもの成長の速度は子によってさまざまです。おしゃべりが得意な子もいれば、あまりお話をしない子どももいます。また子ども自身が言葉への興味関心が低かったり、人にコミュニケーションをとろうという意欲が低かったりというのも、話さない要因になります。子どものペースを見ながら、必要な支援を通じて日々の成長を観察してみましょう。
家族はどんな風に関わればよい?
周りのお友達は上手にお話しているのに、わが子は話さないと不安に感じてしまうパパ・ママも多いと思います。「話してほしい!」という気持ちが親として大きくなることは決して悪いことではありませんが、それを強く子どもに伝えようとすると子どもは苦しく感じてしまいます。話さないわが子に対して、どのように関わればよいかというとポイントは大きく分けて6つあります。
*個人差があることを理解して関わる
幼児期の子どもの発達は個人個人でスピードが違います。他にも保育園に通っていたり、兄弟が多かったりなど、周囲の環境や日頃どれくらい言葉を耳で聞いているかなどでも差がでるものです。どうしても子どもの成長の基準を、周囲の子ども達と比べてしまうことは多いですが、本来の性格や個性を大切にしながら焦らずに、日常生活を楽しみながら、その子が分かりやすい言葉かけなどで関わる工夫をしていきましょう♪
*子どもにプレッシャーを与えすぎない
大好きなパパやママが焦りや心配から、色々自分なりに努力しているのに理解できていない様子や話さない様子にイライラしてしまうと、子どもは怒りの感情を敏感に感じ、プレッシャーで話さなくなることもあります。3歳児の多くはまだまだ言葉の発達途中で、不明瞭な言葉があったり、言い間違いがあったりします。例えば「ちゃんとしゃべれたらおやつをあげるね」などの声かけは、子どもにプレッシャーを与えてしまうため逆効果になります。
*おしゃべりに時間をたくさんかける
言葉を話すのに大切なことは子どもが言葉を理解していることです。人間は言葉を頭でたくさん理解して、それがどんな意味をもつか、どういう場面で使うかを学んで話すことにつなげます。子どものペースに合わせ、場合によっては身振り手振りを使って、親が見本を見せるなどして、何を伝えたいかが明確になるようにお話に時間をかけてあげましょう。会話に集中できるように、見ているテレビを一度止めたり、消したりしてしっかり向かい合わせで伝えてあげるなどの工夫も子どもが言葉を理解しやすい環境づくりといえます。
*言葉以外のコミュニケーションにも視点を向けて大事にする
言葉以外で行うコミュニケーション「ノン・バーバルコミュニケーション」というコミュニケーション方法はご存じでしょうか?表情や身振り手振り、声のトーンを変えるなど、伝えたい情報を会話以外で補って理解する方法です。なるべく短い単語で会話をしながら子どもが話しの内容を理解できているかどうか観察します。子どもが言葉で返さなくても、動作や表情などでどのような会話に興味を持っているかなど違いがわかるかと思います。
*コミュニケーションに対する興味関心を伸ばす
子どもが話さない要因として、コミュニケーションに対する興味関心が低いということもあげられます。例えば、自分が話さなくてもパパやママは理解してくれている、自分以外の人という対象にあまり興味がないなどといった理由から子どもはコミュニケーションを必要としていない可能性があります。
・子どもに選択する場面を与える
・言いたいことをくみ取りすぎず、自分で伝えるという場面を作る
・子どもがたくさん「楽しい」と感じる経験をして共有する
・言葉や身振りで子どもが何かを伝えたときには応える
などといった関わりを継続することで、子どもは「人に何かを伝えたい」「この人ともっと遊びたい」など人への興味関心が伸びて、コミュニケーションを必要とする可能性もあります。
まとめ
今回は、「3歳でもまだ大丈夫?言葉の出ない子どものサポート法」について紹介しました。周りと比べてわが子が話さない様子をみると、不安や心配が出てくるとは思います。しかしその子なりのペースで成長している様子を日々喜び、さまざまな関わりを継続していくことで、子どもは安心して過ごし、できることが増えていきます。紹介した内容が、悩むパパやママの参考になれば幸いです。
言語聴覚士*はる
経歴:言語聴覚士歴:10年目
2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに