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【心理士監修】いつでも起こりうる”不登校” 親としてできるコト

公認心理師*けい先生

2025/06/23

いつでも起こりうる”不登校”

昨今、年齢を問わず、不登校の子どもが増えています。「学校に行きたくない」「朝になるとお腹が痛くなる」…そのようなお子さんの言葉を聞いたり、学校に行けない様子を目の当たりにしたりすると、無理にでも連れて行く方がよいのか、休ませて様子を見てもよいのか、親としては迷いますよね。
学校に行きたいけれど行けない、学校に行かなければいけないと分かっているけれど体が動かない、というお子さんに、どのように声をかけ、サポートしていけばよいのでしょうか。

まずは気持ちの受け止めから

「何で行けないの?」「みんながんばっているのだから、あなたもがんばりなさい」、とつい私たち大人は言いがちです。聞きたいことも言いたいこともたくさんあるでしょう。
親にとってはサボっているだけなのではないか、甘えているのではないか、という考えも頭をよぎります。甘やかしてはいけないという気持ちから、「とにかく学校は行きなさい!」と一喝することがあるかもしれません。お子さんは渋々、登校することがあるかもしれませんが、プレッシャーを与えるだけでは、「親はどうせ分かってくれない」とある日、心を閉ざしてしまいます。
まずは「行きたくないのね」「お腹が痛くてしんどいのね」とお子さんの訴えを受け止めましょう。ありのままの気持ちを受け止められると子どもは安心し、思っていることや感じていることを話しやすくなります。
忙しくてもお子さんがSOSを出している時には、なるべくゆったりと話を聞く時間を作り、気持ちを受け止めるようにしましょう。

学校に行きたくない理由を考える

不登校や行き渋りの理由は、「友達にいじめられた」というようにはっきりした理由があることもありますが、様々なことがからみあって、お子さん自身も分からないということがあります。このような時は、お子さんに「なんで?」と問い詰めても答えられないだけでなく、親子関係も悪くなってしまいます。 学校での友人関係や学習面など、お子さんの置かれている状況を学校に確認し、親がその理由をよく考えてあげることが大切です。
もしもお子さんに、友達とのかかわり方が分からない様子があったり、誤解される言動があったりすると、対人関係は難しくなります。また音や光などの感覚の過敏さがあると、学校は環境の刺激が強すぎ、疲れてしまうのかもしれません。学校はルールが多く、集団への指示を聞き取るのは大切なことですが、そもそも聞き取れていなかったり、予定の変更があっても自分の気持ちや行動が調整できず、学校の時間の流れについていけなかったりすることもあります。
見逃されがちですが、学習面での理解のゆっくりさやあると苦痛な時間が長くなり、授業の負担が大きいということも考えられます。

安心して過ごせるようにする

不登校や登校を渋ることが多い時期は、「学校は行くべき」という考えが、親子共々苦しめます。お子さんが自分自身を責めたり、罪悪感を持ったりする場合、家庭で安心して過ごせることが何より大切です。学校へ行くか行かないか、ということは一旦保留にし、楽しいこと、興味のあること、おもしろいことを一緒に見つけましょう。心が動けば、体も動くようになり、登校についても少しずつ前向きになります。 お子さんが苦しい時期、なるべくプレッシャーを感じず安心して過ごすことが心の支えとなり、結果的に動けることが増えていきます。

一人で抱え込まない

お子さんの不登校や行き渋りが続くと、親としても心配は尽きないものですが、その心配はお子さんに伝わります。お父さん、お母さんが心配を抱え込まないよう、誰かに話したり、親自身の時間を大切にしたりしましょう。親がいつも通りでいてくれることが、お子さんにとっては安心感につながります。 対応に難しさを感じるときには、スクールカウンセラーや教育相談などを利用するのも一つの方法です。また、不登校の期間が長引いても、親だけは学校とのかかわりは絶たないようにしておくことをお勧めします。少し元気を取り戻してきたら、先生や友達のサポートが助けになります。できることから始めていきましょう。

おわりに

学校に行き渋るお子さんの中には発達障がいを抱えているお子さんが多くいるという報告があります。環境の変化に敏感だったり、コミュニケーションの難しさからストレスを抱えたりすることがあり、その結果、学校への不安が強くなることが原因です。 不登校や行き渋りはこのようなお子さんのしんどさのサインかもしれません。気持ちを受け止め、背後にある理由を考えながら、安心して過ごせる日を増やしていきましょう。お子さんの笑顔が見られるようになったら、すぐに登校を再開できなくても、一歩ずつ進んでいくことができます。お子さんの特性に合ったサポートを受け、学校生活の負担を減らすことも考えていけるとよいですね。

公認心理師*けい先生

経歴:公認心理師 27年目

心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。

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