【専門家監修】発達特性のある子への保育園での配慮とは?お願いできる範囲と具体例まとめ コラム詳細|ふぉぴす

【専門家監修】発達特性のある子への保育園での配慮とは?お願いできる範囲と具体例まとめ

保育士*ひよこ先生

2025/11/20

転んで泣いてしまった男の子の様子

発達特性のある子どもが安心して保育園生活を送るためには、園との連携と適切な配慮が欠かせません。
とはいえ、「どこまでお願いしていいの?」「どんな支援が可能なの?」と悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、保育園でできる主な配慮内容やお願いの仕方、家庭と園の連携ポイントを詳しく解説します。

目次

発達特性のある子どもにとっての保育園の役割

幼稚園で笑顔の男たちの様子

社会性を育てる大切な成長の場

保育園は、子どもにとって社会性を育てる場所であり、他の子どもたちとの関わりを通じて、自己理解を深める場でもあります。このため、保育園には発達特性のある子に対しても適切な配慮が求められます。

発達特性に応じた環境づくりが求められる理由

適切な支援があれば、発達障がいの有無に関わらず、自分の能力を最大限に発揮することができます。
そのような環境の中で子供たちは自己肯定感を育むことができます。

保育園で実施されている主な配慮・支援の例

先生にだっこされるおとこのこの様子

多くの保育園では、発達特性のある子のための個別支援計画を作成し、それに基づいて教育や支援を行っています。この計画は子どもの特性やニーズに合わせて都度調整されていて、先生はその計画を基に支援方法を工夫します。発達特性のある子でも過ごしやすい環境を作る環境設定を行っています。具体的な配慮の例をご紹介していきます。

視覚的なサポート(絵カード・写真の活用)

目からの方が情報が入りやすい視覚優位な子どもに対して、絵カードや写真を使用して、一日の流れや活動内容を分かりやすく示します。

耳から入ってくる情報より、目から入ってくる情報のほうが具体的にイメージできるため、子ども自身が次に何をするのかを理解しやすくなります。

静かなスペースの確保(安心できる環境づくり)

感覚過敏な子や集中するのが難しい子、癇癪が起こってしまった子が、安心して過ごせる静かなスペースを設けます。

例えば、保育室の一角にパーテーションや大きな箱を設置し、その子が落ち着くアイテムや遊具を常に入れておきます。本人が安心したいときにいつでも自由に出入りできるようにしておきます。

個別支援のサポート(活動内容や支援方法の調整)

集団活動が難しい子や一斉指示が入りにくい子に対しては、必要に応じて個別に保育士がつき、活動をマンツーマンでサポートしたり、子どもの発達にあわせた別の活動をサポートし個別支援を行います。

コミュニケーションのサポート(絵カード・指差し・ボードなど)

言葉でのコミュニケーションが難しい子には、絵カードやコミュニケーションボードなど言葉を使わない方法でコミュニケーションを促します。

指差しや視線で意思を伝え合うことでより、子どもが自分の意思を伝えやすくなります。

保護者との連携(情報共有と定期的な話し合い)

保護者との定期的なミーティングを行い、子どもの現状や課題について共有します。

保護者の意見や情報も取り入れながら、支援方法を見直していきます。

専門家によるサポート(保育所等訪問支援の活用)

実際に療育施設に通わなくても保育園と専門機関が連携し、「保育所等訪問支援」などを利用することで、保育園に通いながら専門的な支援や助言やサポートを受ける事ができます。

これにより、保育園の先生側も日常での支援方法を学ぶ機会にもなります。

保育園と保護者の連携がもたらす効果

保育園に預けに来た母親と引き取る保育士の様子

園と家庭の情報共有で子どもが安心できる環境に

ママパパが発達特性のある子や発達障がいのある子を育てるにあたって、保育園の密な連携が不可欠です。

自分の子どもの特性や具体的な困りごとを保育園に伝え、それを基に保育園は適切な対応を考えます。また、保育園での様子や困難さをもとに、家庭での対応策を保護者にアドバイスすることが出来ます。

お互いの理解が「子どもの笑顔」を増やす

こうした双方向の情報共有と協力体制が、子どもにとってもママパパにとってもいい環境を作る事ができます。

どこまで園にお願いできる?配慮を頼むときのポイント

登園してきた園児の体温を測る保育士の様子

発達特性のある子どもを育てる上で、保育園にどこまで配慮をお願いしていいのか悩む保護者の方は少なくありません。

園には一人ひとりの子どもに対する支援の限界がありますが、伝え方や工夫次第で柔軟に対応してもらえることも多いです。ここでは、配慮をお願いするときの具体的なポイントをまとめました。

まずは「伝え方」を工夫する

配慮をお願いする際には、子どもの困りごとや特性を具体的に伝えることが大切です。

「〇〇が苦手で泣いてしまうことがあります」「△△の場面では集中が難しいです」といった具体的な状況を伝えると、園側も対応しやすくなります。

また、感情的にならず、協力をお願いする姿勢で伝えることが信頼関係につながります。

「できること・できないこと」を一緒にすり合わせる

園にお願いする際には、子どもが自分でできることと難しいことを整理して伝えることがポイントです。

例えば、手洗いや片付けは自分でできるけれど、集団遊びでの順番待ちはサポートが必要、という具合に伝えることで、園も無理のない支援計画を立てやすくなります。

感謝と協力の姿勢を忘れずに伝える

日々の保育の中で、子どもの特性に応じた配慮をしてもらうことは、保護者にとってありがたいことです。お願いをする際には「いつもありがとうございます」と感謝を伝えると、園との関係がより良好になります。
また、家庭でもできるサポートがあれば共有し、園と家庭が協力し合う姿勢を見せることも大切です。

まとめ

園児に絵本を読み聞かせる保育士と話を聞く園児の様子

残念ながら、昨今の保育士人材不足が叫ばれる保育園では子ども一人ひとりに対して無制限の支援を提供することは難しい部分もあります。ママパパと保育園がお互いの立場を理解しながら、最善の対応を模索することが大切です。

何がどこまで配慮できるかを園とコミュニケーションを取りながら子どもが楽しく園生活を過ごせるといいですね。

保育士*ひよこ先生

経歴:保育士 18年目

保育士経験18年。すでに成人した3人の娘の母です。

せのびーる

保育士*ひよこ先生さんの他の記事はコチラ

もっと見る

関連コラムのご紹介

もっと見る

戻る