【トイトレ問題】心理士監修トイレが怖い…。トイレに恐怖感を持ってしまう子のサポートは? コラム詳細|ふぉぴす

【トイトレ問題】心理士監修トイレが怖い…。トイレに恐怖感を持ってしまう子のサポートは?

公認心理師*やまおさん

2025/05/05

はじめに

お子さんがトイレに恐怖感を持ち、トイレを嫌がると困ってしまいますよね。無理にでもトイレに連れてがんばらせた方がよいのか、見守っていればいずれできるようになるのか…親としては迷うことも多いでしょう。
トイレに恐怖感を持ってしまうお子さんへの対応は、その理由を考えながら対応していくことが大切です。
トイレに行くことが日常になっている私たち大人にとっては、お子さんの感覚や気持ちは分かりにくいことも多いですが、実はトイレは多くの感覚を刺激する非日常な環境です。
お子さんにとって何か怖いのか、考えられる理由と具体的な対応について解説していきます。

トイレはお子さんにとっては不安でいっぱい

トイレは、普段の生活の中では聞こえてこない流水音や、ブーンという動作音、換気扇の音などが聞こえてきます。自動で流れる水は予測不能で、思いのほか大きく聞こえますし、消臭剤などの匂いも慣れていません。
またトイレの狭い空間は閉じ込められているように感じたり、おもらしした時に怒られたことを思い出したりと、私たちが思いもよらない不安を呼び起こすことがあります。
お子さんによっては、自分の体内からおしっこやウンチが出る、といった排泄自体の感覚が怖いと感じることもあります。
感覚過敏があったり、状況の理解が苦手で見通しが持ちにくかったりするお子さんにとって、トイレは恐怖感を持ちやすい場所です。

トイレに恐怖感を持つお子さんへの対応

・気持ちを受け止める

トイレに限らず、お子さんが不安を感じている場面では、その気持ちをまずは受け止めてあげましょう。「怖いね」「嫌だね」と気持ちを受け止めてもらえることは、何より安心感につながります。安心感があれば、少し負荷がかかることもがんばれるものです。

・環境を整える

お子さんに感覚の過敏さがある様子なら、お子さんが不快を感じる感覚に合わせて刺激をなるべく減らすようにします。例えばお子さんに聴覚過敏があるなら流水音を小さくする、嗅覚に過敏さがあるならトイレの消臭剤などの匂いに配慮し、無香料のものやお子さんの好きな香りにする、閉塞感が怖いならドアを開けたままにする、といった工夫ができます。
予測不能なことが起きることに恐怖を感じているようなら、自動で流れる流水音や自動洗浄は止めるようにすると安心です。

・スモールステップで慣れるようにする

環境を整えられたら、スモールステップで少しずつ慣れさせていきます。 トイレに行きたがらないお子さんは、何も脱がなくてもまずはトイレの近くに行くだけでも十分です。

・好きなキャラクターの絵を貼っておく。
・お気に入りの歌を歌ってトイレに入る。

ドアを開けた状態で親と一緒に入り、少しずつトイレの環境に慣れることがまずは最初のステップです。
トイレに安心して入れるようになったら、次は何も脱がないまま便座に座らせてみます。数秒座っただけでもほめたり、ハイタッチをしたりして、親もうれしいという気持ちを伝えましょう。
お子さんの様子を見ながら、慣れてきたらズボンや紙パンツを脱がせて座らせてみます。 お子さんが嫌がる時に親が怒ったり、大きな声を出したりすると、またトイレが怖いといと感じる場所になりかねません。慣れるまでには多くの時間がかかることを想定し、焦らないことが結果的に急がば回れになります。

試行錯誤しながら、紙パンツを脱いで便座に座ったとき、偶然、排泄できるという機会ができるものです。座る機会や時間が増えれば、排泄できる機会も増えます。できたらたくさんほめてあげましょう。できなくても嫌味を言ったり、がっかりして見せたりするのはやめましょう。
成功体験に注目することにより、お子さんの自信につながります。

・トイレの手順を視覚的に示す

動画やイラストでトイレの使い方をお子さんに見せると、見通しが持ちやすくなり、安心感につながります。大人が用を足す時に一緒に入ることから始めてもよいかもしれませんね。

おわりに

感覚の過敏さや見通しの持ちにくさのあるお子さんにとっては、トイレは不安な空間です。特に自閉症スペクトラムという発達障害の傾向のあるお子さんは、感覚過敏の特徴があり、トイレに対して恐怖感を抱くことがあります。
お子さんが安心できるよう、特性に合った環境を調整やスモールステップの対応を通じて、お子さんが少しずつ安心してトイレに行けるように慣らしていきましょう。
もしもお子さんのトイレに対する恐怖心が強く、対応が難しい場合は、いくつかの原因が絡み合っているかもしれません。療育センターや保健所、児童発達支援の専門家などに相談してみましょう。

公認心理師*やまおさん

経歴:臨床心理士、公認心理師

児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。

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