【心理師監修】チックの原因やお家で出来るサポートは?

公認心理師*けい先生

2025/04/15

チックって何?

チックというのは、
・まばたき
・咳払い
・鼻すすり
・発声
・肩をすくめる
といったことを無意識に繰り返すことです。まばたきや肩をすくめるといった行動は運動チック、発声や咳払い、鼻すすりは音声チックと言われます。
チックは珍しいことではなく、子供の1~2割ほどにみられるといわれています。ほとんどのチックは自然に解消しますが、症状が重くなるお子さんもいるため、原因について考え、お家でできるサポートを知っておくことは大切です。

チックの原因は?

チック症の原因は分かっておらず、始まるきっかけも特に思い当たらない、ということも多くあります。チックは増える時期があったり、減る時期があったりし、ストレスなどの心の影響を受けることがありますが、親の育て方や本人に問題があって起こるわけではありません。本人が意識的にしていることではなく、無意識に起こるものです。
以前は、親の育て方が原因であると言われることが多くありましたが、現在は以下のようないくつかの要因が組み合わさることで発症するとされています。

遺伝的要素

家族に同じようなチックの症状が見られることが多いため、遺伝的な要素があるといわれています。ですが全てが遺伝の要因という訳ではなく、環境や心理的な要因も同時に影響を与えると考えられています。

脳の要因

運動の調整にかかわる脳内の神経回路の異常、特に経伝達物質であるドーパミンやセロトニンという神経伝達物質の異常がチックを引き起こしていると考えられています。このため、体の一部が無意識に動いたり、声を発したりする症状が起こるようです。

心理的要因

ストレスや不安などが、要因の全てという訳ではありませんが、チックに影響することがあります。学校や家庭での環境の変化、寝不足や疲れなどもお子さんにとってストレスとなり、チックに影響を与えると考えられます

チックが長く続くと・・・

運動チックと音声チックのどちらか、あるいは両方の症状が1年未満で消失する一過性チックは、多くのお子さんに見られます。
最初はまばたきや、肩をすくめるなどの運動チックに、咳払いや発声による音声チックが加わるようになります。交互に症状が消失したり現れたりし、症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
症状が重くなり、いくつかの運動チックと音声チックの両方が1年以上続くということもあります。その場合は、「トゥレット障害」といわれ、神経発達症(いわゆる発達障害)に含まれることになります。

お家で出来るサポートは?

自然に接する

音声のチックは、一見、気を引くための行動ではないかと思われることもありますが、チックは無意識的に起こるもので、お子さん自身ではコントロールできないものです。「やめなさい」と言われてもどうしようもなく、お子さんはストレスがたまります。親が自然に接するようにするとお子さんは安心します。

生活リズムを整える

睡眠をしっかりとり、生活リズムを整えることは有効だと言われています。ゲームやスマホ画面の見過ぎは悪い影響を与えるようです。生活リズムが守られ、子どもが安心して過ごせる家庭の環境は、子どもにとって大きな支えになります。

ストレスの軽減

お子さんの様子を観察したり、様子を聞いたりして、どのような場面でチックが出やすいかをチェックします。特定の場面で多いようなら、そこはストレスのかかる場面かもしれません。心当たりがあるようなら、ストレスをできるだけ軽減する工夫をしましょう。たとえば、学校や家庭での過度なプレッシャーを避けたり、楽しい時間を増やしたりすることが有効です。

環境の調整

周囲の人々に、チックについて正しく理解してもらうにしましょう。チック症の症状を見てやめさせようとしたり、不安そうな顔をされることはお子さんにとって傷つく体験になりかねません。

おわりに

チック症は、子ども自身の意志とは無関係に起こるものであり、決して「やめさせなければならないこと」ではありません。親がその症状を正しく理解し、サポートすることで、お子さんは安心して過ごすことができます。焦らず、温かい心で見守っている内に、多くは自然と改善されますので、心配をし過ぎたり、叱ったりしないようにしましょう。
チック症状が強く、何か月も続くような場合は、薬物療法が有効なこともあります。気になるようなら児童精神科医に相談しましょう。早めの専門家の助言がご家族の安心感にもつながり、結果的にはお子さんのためにもなります。

公認心理師*けい先生

経歴:公認心理師 27年目

心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。

せのびーる

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