【作業療法士に聞く】字が上手にかけない、鏡文字になるけど大丈夫?
作業療法士*てつ先生
2025/03/30
はじめに

就学しても字が上手に書くことが苦手であったり、その書いた文字が鏡文字になってしまう子がいます。
幼稚園の時などはよく鏡文字は見られることはありますが、就学しても鏡文字が見られることはどうしても心配してしまうかもしれません。
今回は、字が上手に書くけない子への対応や鏡文字についてご紹介していきます。
字が上手に書けない原因は?

1. 利き手が確立していない
発達の遅れがあり、就学前でも利き手が確立していない場合があります。 利き手が確立していないとクレヨンや鉛筆を上手に扱うことが難しくなり、字も上手に書くことが難しくなります。
2. 三角や四角がまだ書けていない
字を書く前に、三角や四角などの図形が書けることが大切です。さらに、図形の認識ができることも必要になります。まずは三角や四角を書く練習をしてみてもいいかもしれません。
3. 鉛筆を上手に持つことが苦手
鉛筆は親指、人差し指、中指の3指で持ち、薬指と小指は手を安定させるために紙の上に置きます。 手指の力が弱い子では、鉛筆を握りしめるように持つことがあり、このような持ち方では、滑らかに鉛筆を動かすことが難しく、字を書く時に細かい動きができなくなります。
鏡文字になる原因は?

子供が字を習い始めるとよく鏡文字になることがあります。鏡文字とは、文字が鏡に映したように左右反転していることをいいます。
子供が字を書けるようになる一方で、文字が鏡文字になってしまうことを心配している親御さんもいらっしゃるのではないでしょう。鏡文字になってしまうにはいくつか原因があります。
1. 左右がわからない
瞬時に左右を理解することが難しい場合は、鏡文字になってしまうことがあります。 上下や前後は視覚から見てわかりやすいですが、左右は空間的にわかりづらい概念となっています。 そのため、左右が混同してしまう鏡文字になってしまうことも原因として挙げられます。
2. 利き手が定まっていない
利き手が定まっていない子や左利きの子供は鏡文字になりやすいと言われています。 文字は右利きの人は書きやすいですが、左利きの子供は文字が反転してしまうことがあります。
3. 字を書くことになれていない
字を習い始めの子供は、鏡文字になることがあります。子供にとって字を書くことは、新しいスキルでもあります。
字に慣れ親しんでいないため、子供は試行錯誤しながら字の練習を行います。これは、練習や年齢を重ねる毎に改善されることがあります。
鏡文字が見られたら心配なの?

鏡文字が見られたからと言って発達障がいではありません。
鏡文字は特に小さいお子さんによく見られます。
小さい頃に鏡文字を書いているお子さんが年齢が上がるにつれて、正確な文字を書けるようになった事例もあります。
そのため、鏡文字になってしまっているからといって焦る必要はありません。
ゆっくり見守ってあげましょう。
字が上手に書けるようになる支援は?

1. ひらがな表を活用する
字の練習をする時は、ひらがな表を常に置いておくことをおすすめします。 鏡文字を書いてしまうお子さんは、頭の中で正しい文字をイメージすることが苦手なため、表などを活用することで視覚からイメージしやすくなります。
2. 絵具でなぞり書き
私が実践している方法ですが、プリントされた字の上から絵具でなぞり書きを行うのも楽しく字を学ぶことができます。 様々な色を混ぜ合わせるのも魅力です。 反復的な字の練習は、お子さんにとって飽きてしまう練習ですが、絵具を取り入れることで飽きずに字を学ぶことが出来ます。
おわりに

幼児期の頃や字を書き始める頃は、どうしても鏡文字になってしまうことがあります。そのため、鏡文字が見られたからといって発達障がいと心配する必要はありません。
年齢が上がるにつれて正しく字が書けるようになります。上手に字を書けるようになることで一番大切なことは楽しく字を書く事が好きになることだと思います。

作業療法士*てつ先生
経歴:作業療法士歴11年
作業療法士として働いています!
感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。