【心理士直伝】親が出来る自傷への対応策はある?相談先は?‐前編‐
公認心理師*けい先生
2025/03/20
はじめに

お子さんに、床や壁に頭を打ちつける、自分の体をかむ、つねる、といった自傷行為があると、周囲はとても心配することと思います。このような自傷行為の理由はひとつではありません。 ストレスや不安、感覚過敏、コミュニケーションの困難、気持ちと行動のコントロールの難しさといった理由があり、またそれが複雑にからみあっていることもあります。背景にある理由を考え、適切に対応することが大切です。
自傷行為の理由
コミュニケーションが苦手

気持ちや体の不調を周囲に伝えられない時に、自傷行為によって伝えることがあります。自傷行為は心配な行動であるため、多くの場合、周囲の注目を得られたり、要求が通りやすくなったりしがちです。 このような場合、自傷行為がコミュニケーションの手段になっていると考えられます。
感覚過敏

発達障害のお子さんは、感覚過敏があるお子さんが珍しくありません。音や光、食べるもの、体に触れる物などの刺激が、私たちには想像のつかないほどの不快感やストレスにつながっていることがあります。 このようなつらい感覚を、自傷行為で別の感覚を入れることによって和らげようとしているものと考えられます。
気持ちのコントロールの難しさ

不安やストレスを感じた時に、不快な感情のコントロールが難しく、自傷行為につながることがあります。不快な気持ちがあるとき、私たちは別の事を考えたり、好きなことをしたりして、不快感を和らげるような対処を取りますが、このような対処の代わりに自傷行為をすることがあります。 自傷行為がお子さんにとって不安やストレスを一時的に解消するための手段となっていると考えられます。
身体的な要因

腹痛、頭痛、歯痛などの痛みや、体のだるさなど不調があると不快感を抱えることになります。発達障害のお子さんは体の感覚を感じ取りにくく、どこが痛い、ということが伝えられなかったり、表情に出にくかったりします。 そのため、発達障害のお子さんの中には、この痛みや不調を自傷行為によって和らげているということがあります。
まとめ

今回は、自傷が起こってしまう原因について書かせていただきました。 また、次回は自傷が起こった時に親御さんが取るべき対応策についてお話させていただければと思います。 よろしくお願いいたします。

公認心理師*けい先生
経歴:公認心理師 27年目
心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。