【心理士監修】つば吐き行動を止めたい!つばを吐く原因と対策は?

公認心理師*やまおさん

2025/03/04

はじめに

つばを吐くという行動は、見た目的にも衛生的にもやめて欲しい行動の一つで、保護者としても何とかしたいと思ってしまいますよね。しかし、その行動を叱ってばかりいても改善しないこともあります。
ここでは、つば吐き行動の原因と対策について触れていこうと思います。家庭等の生活の場面でどう関わって行くのかということについてのヒントになれば幸いです。

つば吐き行動の原因は??

①コミュニケーション目的

 いわゆる発達障害と言われる特性があっても、なくても、コミュニケーション目的でのつば吐き行動が見られることがあります。
つばを吐くという行為は、一般的な感覚で言えば「良くないこと」であり、それを見た大人は叱るなどして、反応します。この、大人が反応してくれるというところを楽しんでいるために、どれだけ注意を受けても、叱られてもそれは子どもが求める反応であるために、つば吐き行動が減るどころか強化されて増えていくことがあります。

②ストレス解消のため

 何らかのストレスがたまった時の、はけ口としてつば吐き行動を身に付けて、それを修正できないためということも考えられます。
特に発達障害などで何らかの過敏性を持っている子どもの場合、他の人はあまり気にならない音や光などの刺激がストレス要因となっていることがあり、それが気付かれないままでいることがあります。

③口の中の感覚や機能の問題

 口の中の感覚が過敏で、つばを溜めるその感覚を楽しんでいたり、あるいは鈍感でつばがたまっているのに気付けなかったり、飲む込むということが苦手なため口の中にたまってしまい、つばを吐き捨てるしかなかったり、つばが垂れてしまってる場合もあります。

原因の見極めと対策

コミュニケーション目的の場合

つば吐き行動後の大人の様子を楽しんでいたり、その行動をきっかけに大人に関わってもらおうとしている場合は、コミュニケーション目的と思われます。
 こういう場合には、つば吐き行動以外の、具体的な適切な方法を伝えましょう。大人に構って欲しいのであれば「お話、聞いて」と声をかけるとか、肩をトントンと叩くとかの方法があります。お友だちと遊びたいのであれば、「遊ぼう」と声をかけるとか、肩をトントンと叩く等の方法があります。その子どもは、つば吐き行動以外の適切な方法を身に付けていないのかもしれないという前提で、教えてあげましょう。

 また、つば吐き行動をされたり、見た人は、嫌な思いがしたり、その行動をする人のことが嫌いになったりすることを明確に伝えてあげることも必要です。その行動が、本人にとって、損な行動であると教えてあげましょう。
 その後、つば吐き行動が出た場合には、まずは、その行動は良くないことを明確に伝え、その行動に対しては次は大人は反応しないこと、吐いたつばは自分で片付けるように淡々と伝えます。
もし、つば吐き行動が出た場合には、大人は無反応を通しましょう。子どもはもっと反応してほしい場合には、行動が一時的にエスカレートすることが予想されますが、そこでも無反応を貫きましょう。その後、大人が提示した、適切な方法で関わりを始めた時に、褒めてあげることがとても大切です。

ストレス解消のための場合

 つば吐き行動が何らかの場面や刺激の後にしか出てこない場合には、何らかのストレスがかかった際に、ストレス解消のためにつば吐き行動を行っている可能性があります。
 その場合には、まずは、ストレス解消法を提示してあげることや、その子が安心できる物や場所を提示してあげて、ストレスがかかった際に、つば吐き行動以外で解消できることを目指すのが良いです。

口の中の感覚や機能の問題の場合

 ①にも②にも当てはまらず、時には子ども自身が困っていたりする場合には、口の中の感覚や機能に問題があることが予想されます。そういう場合には、まずはアメやガムなどを使って口に刺激を与えてみたり、時にはマッサージ機のようなもので口周りを刺激してみたりして、刺激を与えてみるのが良いです。  もちろん、医療機関や相談機関をたずねて、みてもらうこともおすすめします。

さいごに


つば吐き行動は、保護者にとってもストレスとなる行動ではあるので、大きく反応してしまいます。しかし、子どもが24時間ずっとつばを吐いているということはありません。
楽しく遊んでいる時間もあれば、頑張って勉強や課題に取り組んでいる時間等もあるでしょう。子どもが楽しめていること、頑張っていること、等の、つば吐き行動以外の部分に目を向けてあげることを大切にしていただければと思います。

公認心理師*やまおさん

経歴:臨床心理士、公認心理師

児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。

せのびーる

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