【公認心理士が解説】質問攻めのなぜなぜ期!疲れない上手な乗り切り方は?
公認心理師*やまおさん
2024/12/04
はじめに
子どもが少し大きくなってくると、「なぜ?」「どうして?」「あれ、何?」と一日に何度も聞かれて、
その勢いに圧倒されたり、少しイラっとしてしまう経験は、ほとんどの保護者にあると思います。
好奇心旺盛なのは子どもの良いところで、そうやって、たくさんのことを吸収して成長していきますし、大人としてもできる限りは答えてあげたいとも思います。
しかし、子どもの中には、何度も同じ質問をしてくる子どもがいます。「それ、前にも言ったよね」と返すと、
「そうだっけ?」と首をかしげる子もいれば、ニヤッと笑って「忘れた」と言う子もいます。こういう場面では、どう対応するのが良いのでしょうか。
本当に分からないのか、について
同じ質問を何度もしてくると言っても、以前に同じ質問をしたことを忘れて聞いてくる子どももいれば、あえて同じ質問をしてくる子どももいます。
意図的にやっている子どもは注意引き行動の一つと言えるでしょう。
そこで大人はついつい、分かっていてやっているかどうかにこだわってしまって、「あなた、本当は分かってるんでしょ?」と問い詰めてしまいがちですが、
本当は分かっているかどうかは子ども自身しか分かりません。時には、子ども自身も自分のことが分かっていないこともありますので、
わざとかどうかに大人がこだわりすぎるのは良くないと言えます。
まずは聞き返してみる
同じ質問を何度もされる際にも、小さい子どもの「なぜ?」「どうして?」の質問攻めにあった際にも、
まずは「あなたは、どう思う?」と聞き返してみましょう。大人は自分が答えないといけないと思ってしまうので、イライラしてしまいがちです。
そうではなく、まずは子ども自身がどう思うか、どう考えているかを聞いてみましょう。
その際に、同じ質問を何度もしているのであれば、「それは前にも答えたから、あなたは知ってると思うよ」と付け加えても良いでしょう。
聞き返すことで間が生まれて、大人も子どもも少し落ち着けるというメリットもあります。
自分で考える、調べる方法を教えてあげる
子どもからの質問に対して、受け答えをする際に大切なことは、聞かれた大人が無理に答えなくても良いというところです。
ただ、だからと言って「私には分からない」だけでは、子どもも途方にくれたり、何度も質問してくるようになります。
ここで、自分が分からない時には、どうしたら良いのかを教えてあげることが必要です。
文字が読めるのであれば、ネットで調べたり、図鑑で調べたりする方法を教えてあげることができるでしょう。
年齢が小さくて、まだ一人で調べることができないのであれば、大人と一緒に調べるので、大人の手が空くまで待ってもらう必要があることを伝えましょう。
その際には「ちょっと待って」ではなく、あと何分とか、長い針が何まで来たらとか、お風呂から上がったらとか、具体的に子どもが分かるように伝えてあげる必要があります。
調べたことを忘れてしまったり、調べ方を忘れてしまう子もいます。
その際には、調べた結果のページをプリントアウトしてあげるとか、調べ方を提示するなどしてあげることで、自分で対応しやすくなります。
しつこい時にはスルーする
自分で調べる方法を伝えたり、大人の手が空くまで待つように伝えたり、時には質問に答えたにも関わらず、同じ質問をしてくることがあります。
もっと知りたいのか、それとも、わざとやっているのかは分かりませんが、
今の時点では大人はもうこれ以上対応できないという状態であれば、「その質問にはもう答えたので、これ以上は答えません」と予告した上で、スルーしましょう。
完全に無視するわけではなく、その質問に対してはスルーし、話題が変わったりすれば、また反応してあげるのが良いでしょう。同じ質問を何度もしても答えてはもらえないという経験をすることが必要です。
同じ質問をすることで構ってもらおうとしている子どもであれば、質問をスルーされれば、最初は行動や言動がエスカレートすることが予測されます。
しかし、そこが大人の我慢のしどころです。「その質問には答えません」と伝えた以上は、家事をするなり、スマホを触るなりして、その質問にはスルーしておきましょう。
さいごに
同じ質問を何度もしてくるということは、子どもから何らかのサインが出ていると考えてみましょう。
その質問に関することにすごく興味があって、もっと知りたいというのであれば、興味や知識を広げるチャンスが来ていると言えます。
一方で、もしかしたら、大人とどう関わって良いのかわからずに、そういう方法しか取れないのかもしれません。
同じ質問を何度もされて良い気分になる人はなかなかいないと思います。
それでも、大人側が優しく「あなたはどう思うの?」と問い返してあげることで、子どもが何を求めているのかが見えてくると思います。
公認心理師*やまおさん
経歴:臨床心理士、公認心理師
児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。