【おうち療育】実は身近な遊びが療育につながるって知ってた?
作業療法士*てつ先生
2024/05/23
療育に関連する物といえば、知育道具やおもちゃなどを思い浮かべるのではないでしょうか。私が勤務している放課後デイサービスにもたくさんの知育道具やおもちゃがあります。しかし、長年勤務してきて思う事があります。
療育を必要としているお子さん達は、個性や特性も一人ひとり違います。大人がたくさんのおもちゃを用意したからといって、そのお子さんが興味を示すわけではなく、そのお子さんに合ったおもちゃを選ぶのは至難の業です。そして意外と大人が用意したおもちゃで遊ぶお子さんは少ないです(笑)おもちゃよりも、お友達と鬼ごっこや、ボール遊びを好むお子さんが多い印象を受けます。
私の放課後デイサービスでは、集団活動をする際もそのような道具を使わず、身近にある物を再利用してゲームを行います。今回は、身近にある療育に繋がる遊びをご紹介していきたいと思います。
画びょうで手の発育が鍛えられる?
意外かもしれませんが画びょうを壁に刺す手の動きは、手の発育を促す効果があります。特に親指の力を強くする事ができます。お家のお手伝いではなかなか画びょうを使う機会は少ないかもしれません。しかし、お子さんが書いた絵などを壁に貼り付ける事で楽しみながら画びょうを使う事が出来るかもしれません。ポイントとしては、親指で画びょうを強くさし込む事がポイントです。(※画びょうは先が尖って危険なため、保護者の方が十分注意しながら行ってください)
新聞紙で手の発達と眼球運動を鍛えよう!
どのご家庭にもある新聞紙でも、療育に繋げる事は可能です。さらに、新聞紙で目の体操にもなるのです。方法としては、両方の親指、人差し指、中指で新聞紙をビリビリ破くだけです。この三本の指は、箸やハサミ、鉛筆を扱う際は、この三本の指がメインとなって道具を動かすため、スキルサイドとも呼ばれています。三本指で新聞紙を破ることは、三本指の運動をイメージする力や握る力、つまむ力を身につけることができます。
さらに、破る方向を目で追うだけでも眼の体操に繋がり、一石二鳥です。子供でも、ストレスを溜め込む子が多く、思いっきり新聞紙を破ることはストレス解消にもつながります。
シールで身体のイメージをとらえよう
発達障がいのお子さんに多いのが、自分の身体の部位を言えない事です。自分の身体の感覚が曖昧では、1人で体を洗う事も難しく、生活動作全般において自立が遅れてしまう可能性もあります。そのようなお子さんに対して、私が実践している事はシールを使うことです。
シールは特になんでも大丈夫です!シールをお子さんのおでこや掌など、体のあらゆる部分に貼り付け、大人と一緒に貼り付けてある体の部位を言いながら剥がしていく、いわゆるシール剥がし遊びも効果的です。また、逆にお子さんが親御さんの体に貼られてあるシールを剝がして遊ぶ事も出来ます。シールが身近にない場合は、ガムテープやセロハンテープでも大丈夫ですよ!
かごでボールキャッチ
ボールをキャッチする事が苦手なお子さんは、ボールを手でキャッチする事は難しいです。ずは、スモールステップとしてかごなどを使ってボールをキャッチしやすいようにしましょう。かごを使った練習では、両手で構え、ボールを見ながら自分の体をボールに合わせる練習になります。さらに、距離間や空間を把握する練習にもなります。かごで上手にボールをキャッチする事ができるようになれば、徐々に手でボールをキャッチする練習に移行していきます。
壁の新聞を叩き落せ!ゲーム
壁に丸めた新聞紙をテープで貼り付け、その壁に貼り付けてある新聞紙を棒で叩いて落としていくいわゆる「新聞叩きゲーム」もおすすめです。制限時間を設定し、時間以内にどれくらいの新聞紙を叩き落とす事ができるか、ゲーム要素を取り入れた活動はお子さんにとっても楽しめる遊びです。
この遊びは、手指や腕の筋肉の発達を促すだけではなく、目と手の協調性を高める事もできます。お家や学校など、様々な場所で取り入れる事ができる遊びなので、ぜひ試してみてください
サランラップの芯でジャンプ練習
発達障害をもつお子さんに多いのが、ジャンプが上手くできない子が多い印象があります。ジャンプが上手くできないお子さんは、両足跳びが難しく、左右の足がバラバラに動いてしまいます。
サランラップジャンプは、サランラップ芯のような棒状の物を転がしてお子さんにジャンプでよけてみてもらいましょう!ただのジャンプ練習よりも、物が転がってくることにより、視覚的に物を捉えることでジャンプのタイミングを計りやすくなり、両足でジャンプがしやすくなります。また、この練習は縄跳びが苦手なお子さんが行う練習の1つにもなっています。
割り箸で人との協調性がアップ!?
割り箸一本で出来る遊びがあります。2人ペアで行い、1本の割り箸をお互いの人差し指で支えながら、その割り箸を落とさないように動くだけです。コースは好きなように決めてOK!スタートとゴールの間に障害物を置くのも面白いかもしれませんね。『落とさないように動くためにはどうするか?』をお子さん自身で考えてもらいます。割り箸をもつ指をみることも大事ですが、ペアの相手と息を合わせるためには「もうちょっとゆっくり歩いてね」や「一緒に動こうね」など相手の事を思いやる「人との協調性」も養えることができます。
まとめ
現代の世の中には、たくさんのおもちゃや知育道具があります。冒頭でも触れましたが、私の勤務している放課後デイサービスでは、値段が高いおもちゃを大人が用意しても真剣になって遊ぶのは最初だけでした。それよりも、お友達と鬼ごっこや折り紙、さらには、私が手作りした「スクーターボード」で楽しそうに遊んでくれます!身近にある物の方が、愛情が込められているのか、それとも子供達の特性に寄り添っているからでしょうか☺皆さんも身近なもので、お子さん達と遊んでみてくださいね!
作業療法士*てつ先生
経歴:作業療法士歴11年
作業療法士として働いています!
感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。