集団行動が苦手…。運動会はどうするべき?親ができる対応は?
公認心理師*やまおさん
2024/11/04
はじめに
子どもが保育園や幼稚園に入園すれば、徐々に集団で行動することを求められるようになります。
しかし、集団で行動を行うことに対して、特に抵抗なく参加することができる子もいれば、強く抵抗する子もいますし、抵抗しているわけではないようだけれど集団からははみ出しがちという子もいます。
子育て相談を担当する専門家の私個人としては、集団で行動することができれば、それに越したことは無いが、できないからと言って悲観する必要もないように思います。
ただ、一人の保護者としては、集団行動が苦手な子どもをもつ保護者や関係者の不安な思いは痛いほど分かるというのも事実です。
そこで、集団行動が苦手な子どもに対して、どのようなアプローチが有効なのかについて考えていきたいと思います。
大原則として
人間には生まれながらに持った素質や特性がありますが、その中には、集団行動には向いていないようなものもあるということを頭に入れておきましょう。 要するに、集団行動に参加するということに関しては、得手不得手があって、やる気がないからやらない、やれば誰でもできるというものではないということです。
どこで躓いているのか
これは専門的な言葉で言えば「アセスメント」ですが、要するに、子どもがどこで躓いているのかを、みんなで考えましょうということです。 「集団行動が苦手」というのは、単なる現象であって、それだけでは、子どもにどうアプローチをすれば良いかは全く分かりません。 なぜそうなっているのかという要因について、いくつか考えてみましょう。
①不安が強い
集団行動にはたくさんの刺激があります。大勢の人がいるだけでも視覚的刺激がかなり多いですし、
学校の体育等であれば、先生が急に笛を吹く音が怖いとか、行進の時に流れる音楽の音が大きすぎて怖いという聴覚的刺激について難しさを抱える子どももいます。
特に発達特性があったり、いわゆる発達障害と言われる子ども達の中には、特定の刺激に過敏な子がいますので、
大人から見れば何と言うこともない刺激が、その子には強い苦痛になっていることも少なくありません。
②刺激が多い
集団行動にはたくさんの刺激があります。大勢の人がいるだけでも視覚的刺激がかなり多いですし、
学校の体育等であれば、先生が急に笛を吹く音が怖いとか、行進の時に流れる音楽の音が大きすぎて怖いという聴覚的刺激について難しさを抱える子どももいます。
特に、発達特性や発達障害の子ども達の中には、特定の刺激に過敏な子がいます。
大人から見れば何と言うこともない刺激が、その子には強い苦痛になっていることも少なくありません。
③衝動コントロールが苦手
集団で行動するにあたっては自己コントロールが必要になります。 しかし、衝動性が高い子どもや、まだ衝動コントロールが難しい年代の子ども達にとっては、集団で行動することは難しいです。
どう対応していくのか
どこで躓いているのかについて、いくつかの仮説をたてることができれば、いくつかの対応策は出てくると思われます。 ここでは、どんな子に対しても使えそうな対応策から紹介したいと思います。
①スケジュールや見通しを伝える、
活動の全体像を伝える
不安が強い子どもたちに対しては、初めに、今日はどんな行動をするのかについて、丁寧に説明して、こういうことが起こると思うよという大人側の見通しを伝えてあげましょう。
②刺激を減らす
何らかの刺激に反応してしまったり、そのことに苦痛を感じている場合には、刺激を減らした状態から始めてみましょう。 大人数よりも少人数(あるいはまずは個人でやってみる)、大きな声を出さない、小さいボリュームで音楽を鳴らす、等です。
③具体的に求めている行動を提示する
先ほどの体育の行進を例にすると、「きちんと行進しようね」ではありません。
前の人から~歩分離れて付いていきましょう、顔は前の人の頭を見ます、腕はこう振ろうね、足はここまであげるよ、という感じです。
集団行動に限ったことではありませんが、大人は「~してはいけない」と否定文で注意をしがちです。
ですがそれでは、注意された子どもがどう行動を修正したら良いのかわからないことがあります。
あれもダメ、これもダメと叱られればやる気もなくなりますし、「自分で考えなさい」と言われれば反発したくなるのも無理は無いでしょう。
これらは対応策として書きましたが、初めからこういう視点を持って集団行動に参加することで、どんな子どもでも参加しやすくなるということを忘れてはいけません。
最後に
初めにもお伝えしましたが、集団行動はうまく参加できればそれに越したことはありませんが、絶対に参加しないといけないのかと言われれば、そうとも言えないと思います。
特に年齢が低い子どもの中には、集団行動が苦手な子が一定数いると思われます。みんなで一緒に何かをするということに過度に価値を置くことは危険です。
初めは集団で何か一緒にすることが楽しいという子どもが参加し、それを周囲で見ていた子どもが「楽しそうだな」と徐々に参加できるような形になれば良いなと思います。
公認心理師*やまおさん
経歴:臨床心理士、公認心理師
児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。