暴れる、無理やり気を引こうとする子にどう接するべき?接し方のコツを公認心理士が解説!

公認心理師*やまおさん

2024/10/28

はじめに

困った時に「助けて」と言えたり、一緒に遊びたい時に「遊ぼう」と言える子どもばかりではありません。 相手に怒ってみたり、ちょっかいや暴力をかけてみたり、反抗的な態度を取ることで、相手に構ってもらおうとする子どももいます。 それを子ども同士でやる場合もあれば、親や大人相手にすることもあり、対応する大人が疲弊してしまうという場合も少なくありません。
こういう問題は特別珍しいことではなく、日々の大人と子どもとの些細なズレが蓄積された結果として生じていることが多いと思われます。 そこで、上記のような行動が見られた際に、どう対応していくのが望ましいのかについて述べていきたいと思います。


①それが不適切な行動であることを伝える。

その行動が不適切であり、その行動をとり続けるうちは、子どもの要求に従うことはできないと明確に伝えます。 大きな声で叱ってしまうこともありますが、子どもからすれば、大きく反応してくれたと認知されることもありますので、 淡々と「その行動は良くない行動だよ」「それをやめてね」と伝えましょう。 この時の表情も大切です。大人が困った表情を浮かべているつもりでも、子どもは相手が喜んでいると認知することもありますので、無表情に近い状態が良いと思います。 子どもは、相手や大人から何らかの反応を引き出したいと思って、不適切な行動を行っていますので、過剰に反応してはいけません。

②選択肢を提示して、子どもにやってもらう

その行動が不適切であることを伝えた上で、大人としてはどう行動して欲しいのかを具体的に伝えます。 不適切な行動で相手の注意をひいたり、反応を引き出そうとする場合には、「自分がどうしたいのかを言葉で伝えてください」と伝える必要があります。 ただ、急に言葉で伝えて欲しいと言われても、それまでにそういう習慣がない場合には、何を言えば良いのか分からないことが多いです。

そこで、「一緒に遊ぼうって言いたいのかな?」「分からなくて手伝って欲しいのかな?」など、こちらで考えうる相手の意向を選択肢として提示してあげましょう。 自分の口で言うまで待ちますという方法は有効ではありません。子どもの中に選択肢がないのに、何かを出せと言われてもどうすることもできず、 言葉で伝えるということに対してますます嫌悪感が増してしまいます。

こちらから選択肢を提示した上で、子どもが何かを選択することができたら、それを子どもに言わせてみて、それができたら評価します。 もし、うまく言えなければ、大人が見本を見せた上で、子どもにもやってもらいます。 子どもによっては「分かったから大丈夫」でやらずに済ませようとしますが、それではいつまで経っても行動の選択肢は増えません。

③自分の思いを言語化したことは評価する

例えば、友だちと一緒に玩具で遊んでいます。 ずっとその子が遊んでいるので、友だちが「そろそろ、そのおもちゃ貸して」と言ったところ、その子は「もっと遊びたいから嫌だ」と返事をしたとします。 こういう場合に、大人はつい「貸してあげなきゃだめでしょ」と叱ってしまいます。 確かにそうではあるのですが、まずは「自分の思っていることを、きちんと言葉で言えたのは偉かったよ」と伝えてあげることが必要です。 自分の思いを言語化することで評価されるという経験を積み重ねていくことが必要です。

④叱っても効果は薄い。注目しないことが大切

不適切な行動で注意をひいたり、相手の行動を引き起こそうとする子どもは、相手に反応をして欲しいという気持ちが強いので、 叱られたとしても、相手の注意を引くことができたと認知して、その不適切な行動が強化されることがよくあります。 そのために、こういう行動を取る子どもに対しては、適切な行動が出た時には、どんな些細なことでも注目して褒めてあげ、 不適切な行動が出た際には叱るよりも、注目しないということが有効になります。

おわりに

不適切な行動で注意を引こうとする子どもの多くは、適切な行動を身に付けていません。 そのために、不適切な行動を叱ったり注意するだけでは改善は難しいと言えます。 この子たちにとっては、自分の気持ちを言葉にして伝えることが目標となりますが、 接する大人としては、自分が子どものモデルになっているかを意識しておくことが大切です。 嫌なことは嫌、嬉しい時は嬉しい、感情の言語化を大人自身もできているのかを気にしてみてください。

公認心理師*やまおさん

経歴:臨床心理士、公認心理師

児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。

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