“やさしく伝える力”を育む!ソーシャルスキルを楽しく学べる絵本特集
言語聴覚士*はる
2025/12/20
はじめに

「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」という言葉を聞いたことはありますか?
SSTとは、対人関係や社会生活に必要なマナー、感情表現、他者との関わり方などを学ぶプログラムのことです。
言葉が話せるようになっても、順番を守れなかったり、相手の気持ちを考えずに言葉を発してしまったりと、トラブルになることもありますよね。
そんなとき、日常の中で「相手の気持ちを考える」「人と関わる力」を育むきっかけになるのが“絵本”です。
今回は、SSTの基礎的な考え方と、子どものソーシャルスキルが自然と身につくおすすめ絵本をご紹介します。
目次
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?

SST(Social Skills Training)は、社会の中でより良い人間関係を築くための「スキル」を学ぶトレーニングです。
たとえば、挨拶・順番を待つ・貸し借りをする・謝る・ありがとうを伝えるなど、生活の中で欠かせないスキルを、ロールプレイ(役になりきる練習)などを通して身につけていきます。
保育園や学校、療育の場でもよく行われるプログラムで、「こんなときはどうする?」「どんな言葉で伝えたらいい?」と考える練習をしながら、相手の気持ちや自分の行動を客観的に理解する力を育てます。
家庭でも、絵本を使って「どんな気持ちかな?」「こういうとき、どうすればいいかな?」と話し合うだけでも、立派なSSTの時間になります。
SSTが学べるおすすめ絵本4選
① ノンタンのぶらんこのせて
(偕成社)
★テーマ:順番を守る・貸し借りの学び
ブランコで遊んでいるノンタンに、「かして!」とお友達が次々とやってきます。
でもノンタンは、いろいろな理由をつけて断ってしまい、ついにお友達が怒ってしまうのです。
最終的には仲直りしますが、「遊びの順番」や「貸し借りの大切さ」を楽しく学べる絵本です。
また、登場人物の表情を見ながら「どんな気持ちなのかな?」と話し合うことで、感情の読み取りにもつながります。
言葉の発達途中のお子さんには、登場する動物を指差して答える遊び方もおすすめです♪
② きもち
(著:谷川俊太郎/福音館書店)
★テーマ:気持ちを理解する・感情の言語化
この絵本の特徴は、なんといっても「文字がほとんどない」こと。
ページいっぱいに描かれた表情豊かなイラストを見て、「この子は今どんな気持ちかな?」と親子で考えることができます。「物を取られて悲しい」「意地悪している顔」「照れている顔」など、いろいろな感情を絵で感じ取ることができ、子どもの“共感力”や“感情表現”を育ててくれる一冊です。
一緒に「どんな様子かな?」「どんな顔をしてる?」と会話を楽しみながら読むのがおすすめです♪
③ ねずみくんのきもち(ポプラ社)
★テーマ:思いやり・自己肯定感
ねずみくんが、ねこくんに意地悪をされて落ち込むお話。
「自分が悪いのかな…」と自己嫌悪に陥るねずみくんに、ふくろうさんが「そんなことないよ」と優しく声をかけてくれます。
このやり取りを通して、他人への思いやりや、助け合いの大切さを伝える内容になっています。 読後には「違ってもいいんだ」「それぞれの良さがあるんだ」という自己肯定感が自然と芽生えるでしょう。
④ いらいら ばいばい(鈴木出版)
★テーマ:怒りのコントロール・感情マネジメント
アンガーマネジメント(怒りの感情を上手に扱う練習)をテーマにした絵本です。
怒りを抑えられないかいじゅうの子が、ある女の子と出会って「怒りを鎮める方法」を学んでいきます。
子どもと一緒に読むことで、「どんなときに怒るのか」「どうすれば気持ちを落ち着けられるか」を考えるきっかけになります。
「うがー!」と怒るだけでは伝わらないこと、ゆっくり言葉で気持ちを伝えることの大切さも学べる絵本です。
まとめ:絵本を通して楽しくソーシャルスキルを育もう

SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、相手の気持ちを理解し、集団の中で心地よく過ごすために欠かせない力を育てるトレーニングです。
絵本を使えば、遊びながら・笑いながら自然に社会性を学ぶことができます。 今回ご紹介した絵本は、どれも「気持ちの理解」や「思いやり」「怒りのコントロール」など、日常生活に直結するテーマばかり。 ぜひ親子で一緒に読みながら、「どんな気持ち?」「こんなときどうする?」と話してみてくださいね。
きっと、絵本の中の小さな学びが、お子さんの大きな成長につながるはずです。
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言語聴覚士*はる
経歴:言語聴覚士歴:10年目
2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに






