【作業療法士監修】片付けができないのは「意志が弱いから」ではない。 コラム詳細|ふぉぴす

【作業療法士監修】片付けができないのは「意志が弱いから」ではない。

作業療法士*こーすけ先生

2025/09/26

はじめに

「うちの子は片付けができない」
「言ってもすぐ散らかしてしまう」

そんな悩みを抱えている親御さんは少なくありません。

「ちゃんとやりなさい」と言いたくなりますが、実は片付けの苦手さは、性格だけで説明できるものではありません。

脳の「情報処理」「実行機能」という力が大きく関係しているのです!!

片付けは実はとても複雑な作業

片付けというと「物を決まった場所箱に入れるだけ」と思いがちですが、高度な思考が必要な作業です。

例えば...

床にブロックが落ちていたとき、
子どもは「まだ遊びたいな。片付けるならどこだろう。」と判断が必要になります。

この「見て→考えて→判断して→行動する」という流れは、脳の情報処理に大きな負担をかけます。

大人でも散らかった部屋を前に「どこから手をつけよう」と迷うことがあると思います... 片付けは難しい活動なのです!!

実行機能が関わっている

片付けがスムーズにできるために実行機能と呼ばれる脳の力が関わっています。

実行機能とは

目標を立てて計画し、行動や思考を調整する力のことです。

具体的には次のような要素があります。

ワーキングメモリ(短期的に覚えて処理する力)

「ブロックを箱にしまう」と考えていても、途中で絵本を見つけると「こっちも片付けなきゃ」となってしまいブロックを箱にしまうという最初の目的を忘れてしまうことがあります。

抑制(気持ちを我慢する力)

片付けの途中でおもちゃを見つけると「遊びたい!」気持ちがむくむくと湧いてきます。抑制がうまく働かないと、すぐ遊びに戻ってしまい片付けをすることができなくなってしまいます。

計画・切り替え

「どこから片付けるか」「やり方を変える」など、認知的な柔軟さが必要です。 しかしこれらの力が苦手だと、どこから片付けていいのか目の前の散らかったおもちゃなどに圧倒されて動けなくなってしまいます。

つまり「片付けられない子」は、
怠けているのではなく、脳の力の使い方がまだ育っている途中だと考えられます。

親ができる工夫

子どもが片付けられるようになるには、脳の負担を減らし、成功体験を積める環境づくりが大切です。

片付けるものをひとつひとつに区切る

「部屋を片付けなさい」ではなく「ブロックを箱に入れよう」など、ひとつの作業に絞る。

視覚的にわかりやすくする

ラベルや写真を貼って「絵本はこの棚」「車はこの箱」と決めておくと、どこに何をしまうのか一目でわかるようにすると迷いが減ります。

「できた!」を大切にする

すべてのおもちゃを完璧に片付けられなくても、少しでもできたら「ここまでできたね」と認めます。 達成感は次の行動につながります。

まとめ

片付けができないのは 「意志が弱いから」「だらしないから」ではなく、脳の情報処理実行機能の発達が関係しています。

子どもはまだその力を育てている途中です。

親御さんが工夫して環境を整え、できたことを一緒に喜ぶことで、片付けは少しずつスムーズになっていきます。

「片付けられない子」ではなく
「片付けを練習している子」と捉えてあげると、見方も変わるはずです。

作業療法士*こーすけ先生

経歴:発達障害を抱える方を支援して10年。現在は訪問リハビリに従事しています。

子どもの「できた!」を増やすお手伝いをしています。

せのびーる

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