【おうち療育】子どもが「姿勢を保てない」のはなぜ?作業療法士がヒントをお伝え!
作業療法士*こーすけ先生
2025/09/22
はじめに

「姿勢が崩れてしまう」
「椅子に座っていても机に突っ伏しまったり、グラグラ動いている」
そんな悩みを抱える親御さんは少なくありません!
「筋力が足りないのかな?」と思う方も多いのですが、実は姿勢を保つためには筋力だけでなく「筋緊張」という大切な要素も関わっています。
筋力と筋緊張の違い

まず「筋力」と「筋緊張」は似ているようで違うものです。
筋力
力を発揮する能力。重い荷物を持ち上げたり、ジャンプしたりするときに使うもの。
筋緊張
力を出していないときでも、いつでも筋肉が動けるように少しだけ緊張している状態。姿勢を保つ「基盤」のようなもの。
車のアイドリングに似ています。
例えば...
「椅子に座って30分授業を受ける」には、大きな力(筋力)を出し続ける必要はありません。 体が自然にピンと保たれるように、背中や首、体幹の筋肉が常にほどよく緊張している必要があります。
これが筋緊張です。
姿勢を保つために大切なのは筋緊張

子どもが姿勢を崩しやすいとき、「筋力が弱いから」と思われがちですが、実際には「筋緊張の調整がうまくいっていない」ことが多いのです。
筋緊張が低いと、体を支えるベースが安定せず、すぐに机に伏せたり、横にぐにゃっと傾いたりします。
逆に、筋緊張が高すぎると体がガチガチに固まってしまい、集中どころではなくなることもあります。
つまり、姿勢を保つには「ちょうどよい筋緊張」を持続できることが大切なのです。
筋緊張と「注意力」「モチベーション」の関係

筋緊張は単純に筋力や筋肉の問題ではありません。
実は「脳の働き」と深くつながっています。
注意力
面白い話を聞いているときは、自然と姿勢がまっすぐになります。 逆に退屈だとすぐ崩れてしまう。これは注意の集中によって筋緊張が高まり、姿勢が整うからです。
モチベーション
やりたいこと・好きなことをしているときは、姿勢を保つ力が長く続きます。嫌いな課題や苦手な作業では、姿勢を保つモチベーションが弱く、すぐ崩れてしまいます。つまり!!
「姿勢を保つ」ことは単に筋肉の問題ではなく、注意力とモチベーションが大きく関与しているのです!
筋力を鍛えることも大切

筋緊張を保つには一定の基礎的な筋力が必要です。
筋力が不足していると、必要な緊張を維持するだけで疲れてしまい、すぐ姿勢が崩れてしまいます...
筋力を高めることは、姿勢を長く支える「土台づくり」としてとても有益です。 おうちでもできるトレーニングをご紹介します!
おうちでできるトレーニングと工夫

1.遊びの中で筋力を育てる
トンネルくぐり、押し合いっこ、雑巾がけレースなど、遊びの延長で体幹や手足の力を育てられます。
2.短時間で集中できる活動を選ぶ
姿勢が崩れる前に「一区切り」をつける。
5分だけ頑張る→休憩→また5分、のようにリズムを作ると負担が減ります。
3.やる気を引き出す工夫
好きなキャラクターの椅子やタイマーを使って課題を実施すると、モチベーションが高まりやすくなり、筋緊張も維持しやすくなります。
4.環境を整える
椅子や机の高さを体に合ったものにするだけでも、姿勢を保ちやすくなります。足が床につかない場合は足台を置くのも有効です。
まとめ

子どもが「姿勢を保てない」のは、単に筋力が弱いからではなく「筋緊張をうまく保てない」ことが大きく関係しています。
そして!!
筋緊張は注意やモチベーションと深くつながっています。
筋力を鍛えることも大切ですが、それだけでは不十分で、「どうすれば子どもが楽しく・集中して取り組めるか」という工夫が必要なのです。
おうちで少しずつトレーニングと工夫を取り入れることで、子どもは自然と「姿勢を保つ力」を育んでいくことができますよ!

作業療法士*こーすけ先生
経歴:発達障害を抱える方を支援して10年。現在は訪問リハビリに従事しています。
子どもの「できた!」を増やすお手伝いをしています。