【作業療法士が直伝!】お箸に移るタイミングと使い方!
作業療法士*こーすけ先生
2025/08/06
お箸を上手に使うってどういうこと?

「そろそろお箸に挑戦させたいけどうまく使えない」
「変な持ち方がクセになってしまっている」など...
子どものお箸の練習に関しては、保護者の方からこのような悩みがよく聞かれます。
お箸の上達には、タイミングや持ち方の指導も重要ですが....
実は!!!
“構造”や“使い方のしくみ”を理解することで、子どもへの教え方がぐんと変わります!
まずは基本から確認してみましょう🙂↕️
お箸には2本の役割がある

お箸は単なる「2本の棒」ではなく、それぞれに異なる役割があります。
上側の箸は「操作箸」
下側の箸は「固定箸」と呼ばれます。
固定箸は親指の付け根と薬指の間で支え、動かさずに安定させます。
箸先がぶれないよう、まさに“土台”の役割です。
操作箸は主に親指・人差し指・中指の3本で動かし、物をつかんだり離したりする役割を担います。
重要なのは、薬指と小指が安定していないと、操作箸がうまく動かせないという点です。
この2本の指で手全体を安定させ、自由に動く3本指(親指・人差し指・中指)で細かな操作を行うという構造になっています。
お箸の練習、始める前にチェック!

お箸をうまく使うためには、まず手の発達や姿勢が整っているか確認する必要があります!
以下のポイントをチェックしてみましょう!
1. 椅子に座って、足の裏が床についているか(姿勢の安定)
2. 肩や肘に余分な力が入らず、手先が自由に動かせるか
3. グーにした状態から、親指・人差し指・中指を開きます。その際に、薬指と小指を動かさないでいることができるか
これらが難しい場合には
まずは“お箸より前の手先の準備”が必要です。
焦らず、段階的にステップアップしていくことが大切です。
スプーンやフォークからお箸にスムーズに移行するサイン

お箸の使用に移行する準備ができているかどうかを見極める目安のひとつに
「スプーンを使う手指の使い方」があります。
特に注目したいのは、親指・人差し指・中指の3本の指でスプーンを持ち、手首や肘に頼らずに、指先を使って道具を操作できているかという点です。
この3本の指でスプーンをしっかり保持し、細かな動きで食べ物をすくったり口に運んだりできるようになっていれば、お箸を操作するための基礎的な指の使い方が身についてきているサインです✨
お箸の使い方を身につける!おすすめ練習法
お箸の練習は、「正しい指の動きを引き出す」ことがポイントです!
以下のような遊びやトレーニングを筆者は臨床で実施しています!
・操作箸だけを動かす練習
まずは、固定箸を安定させたまま、上の操作箸だけを動かす練習から始めましょう。3指だけで上箸を上下させる練習を行います。
指の分離運動のトレーニング
お箸操作に必要なのは、「3本指で動かして、他の指で支える」という分離運動です。
次のような遊びが効果的です。
小さな洗濯ばさみを
親指・人差し指・中指でつまむ
指先でビーズをつまんで容器に移す
「指人形あそび」や「指体操」で指の使い分けを体感する
“正しく持つ”より“楽しく続ける”を大切に

お箸の習得は、手先の巧緻性・注意力・姿勢制御など複数の力を必要とする高度なスキルです。
一度で完璧にできる子はいません!
「正しく持ちなさい」と繰り返し言われると、子どもにとってお箸が“苦痛”になってしまうこともあります。
大切なのは、“楽しく繰り返す”こと。
そして、うまくいった瞬間を一緒に喜ぶことです!!
「今日、1粒つまめた!」そんな小さな成功体験を積み重ねていくことで、自然と手の使い方が洗練されていきます。
焦らず、今の子どもの発達段階に合わせて、遊びや工夫を取り入れながら練習を続けていくことが、お箸上達の近道です。

作業療法士*こーすけ先生
経歴:発達障害を抱える方を支援して10年。現在は訪問リハビリに従事しています。
子どもの「できた!」を増やすお手伝いをしています。