【心理師が教える】目が合わない、目を合わせるのが苦手な子への関わり方
公認心理師*けい先生
2025/04/03
はじめに

目を合わせるのが苦手なお子さんがいます。目を合わせることが不快だったり、緊張したりするためで、背景に発達の特性や性格的な特徴があることもあります。どう対応し、どう受け止めればよいのかについてお話します。
目を合わせない…どう対応する?
無理に目を合わせることを求めない

事あるごとに「目を見てお話しなさい」と言われると、コミュニケーションを取るのが嫌になってしまいます。せっかくのコミュニケーションの機会に、訓練のように目を合わせることをお子さんに要求していると、楽しさも半減しますし、親が「目が合うようにしなければ」と身構えると、自然と緊張感が生まれるものです。
ですが、無理に目を合わせなくても、表情やジェスチャー、ことばなどでもコミュニケーションを取ることができます。まずは穏やかな声と笑顔で話しかけ、お子さんにとって楽なやりとりを尊重してあげましょう。プレッシャーを感じずに自然なコミュニケーションを楽しめるようにします。
お話をする時は、耳や鼻の辺りなど顔を見るようにすればよいことを教え、目を合わせないコミュニケーションをOKにしてあげましょう。
「うれしい」「楽しい」「伝えたい」という気持ちが出てくる工夫

お子さんの好きな遊びを通じたコミュニケーションは、自然と目を合わせることへのプレッシャーを和らげます。ゲームや折り紙、絵本、音の出るおもちゃ、絵を描くなど、目を合わせなくても楽しめる遊びを通じて、安心・安全なコミュニケーションが取れるようにしましょう。
目が合うかどうかにかかわらず、「うれしいね」「楽しいね」と伝え、お子さんが思わず親の顔を見る、といった機会を作るように工夫しましょう。
お子さんが注意を向けるものに親も視線を向けるようにし、「あったね」「うれしいね」と気持ちが共有できると、自然と目が合う場面が生まれます。
人に興味が持てるように

もしもお子さんが、目が合わないどころか親の顔も見ない、おもちゃなどの物への興味が強くて人への興味が少ない、という様子なら、まずは人への興味が持てるように工夫します。
一人遊びが長いようなら、隣でお子さんのしていること、例えば机をたたいていたら一緒にたたく、車を走らせていたら隣で走らせる、などのまねっこをします。お子さんが「あれ?」とこちらを見たらラッキーです。キラキラ光るおもちゃや、音が出るおもちゃなど、お子さんの興味を引くようなものでもよいでしょう。お子さんがおもちゃにつられて親の顔を見るように、おもちゃを親の顔や目のそばに持っていきます。
おもちゃをほしがったら、笑顔でお子さんの名前を呼び、手を差し出す、顔を見るといった反応があったら「はい、どうぞ」と渡してあげます。少しずつ、物から人への興味が育っていきます。
どう受け止めたらいい?

目を合わせることが苦手な理由が、お子さんの発達の特性や、性格であることがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)などの発達特性があるお子さんの場合は、目が合いにくいことがよく見られます。
何らかの過去の傷ついた経験がトラウマとなり、他者の視線が怖い、内向的で恥ずかしがり、人と会う経験不足といったことで、目を合わせることが苦手な場合もあります。いずれにせよ、できないことを否定せず、お子さんのペースを尊重します。
そもそもは、目を合わせることがコミュニケーションの基本になることから、目を合わせることが重要視されますが、目を合わせることがゴールではありません。目を合わせることは、コミュニケーションの一部ですので、それ以外のコミュニケーションの力をつけることを目指していきます。
ただ、お子さんとつながっている感覚が持ちにくい場合もあります。そのような時には、専門家に早めに相談するようにしましょう。
おわりに

目を合わせることが苦手なお子さんには、まずは遊びの中で一緒に楽しむ経験を通して、コミュニケーションの力をつけていきましょう。人への興味をのばし、一緒に遊んで楽しい、もっとやりたい、といった気持ちがたくさん出てくることが大切です。

公認心理師*けい先生
経歴:公認心理師 27年目
心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。