場面に合った切り替えが苦手な子に!声のかけ方例&NGな接し方は?
公認心理師*やまおさん
2024/09/13
子ども達の多くは「今」「ここ」を中心に生きていますし、それが子どもの良いところでもあります。そのために、場面の切り替わりでの対応はどうしても難しくなってしまいます。
大人側としては子どもの好きなように好きなだけ過ごさせてあげるというのは、実際問題なかなか難しいところがあります。
そのため場面の切り替えが難しい子どもに対して、大人は対応に苦慮することがよく起こります。
ここでは、親子で公園に遊びに来たという場面設定を通して、子どもが場面の切り替えを行いやすいような対応方法について伝えていこうと思います。
①遊び始める前に
公園に着きました。では、初めに約束事を決めたり、確認しましょう。これが一番大切なところです。子どもとの約束事で一番大切なことは、事前にその約束事を大人と子どもとで共有し、双方が了承しておくことです。約束事を曖昧なままにして、急に大人が子どもを叱っても、子どもからすれば納得いかないから動かないということが多いからです。
ここでは「公園に来ていて〇時になったら大人が声をかける、そこで遊びをやめて、その次にどうするか」を伝えて、本人の了承を得ましょう。
この時点で、大人との約束に了承できないなら、遊ぶことはできません。
約束をする、約束をすれば時間までは自由に遊べる、約束を守れば次もまた遊べる、というこの繰り返しによって、
約束を守った方が得をするという感覚を身に付けていくことが非常に大切です。
また、大人の指示に従えなかったらどうするかも、この時点で共有しておきましょう。
ダメだと言っていることをしてしまった場合、約束時間を守らなかったらどうするか、等を決めておきましょう。
大人としては当たり前だと思うことも、言語化して子どもと共有しておきましょう。
②遊んでいる間で
遊んでいる最中は、危険なこと等がない限りは、一緒に遊んだり、見守ってあげることになると思います。
ここでは、子どもが楽しそうに遊んでいるところを、親が見ておいてあげるということが大切です。
親はずっとスマホを見ていて、たまに声をかけてくれる時は注意する時だけ、となると、子どもとしては、叱られてばかりという感覚になってしまいます。
場面の切り替えという視点で言うと、ここでは、予告をしてあげる段階です。「あと半分ぐらい」、「あと10分」、「あと1分」等、伝えてあげましょう。
まだ時計が読めなかったりする子どもであっても、この先には遊びを止めるときが来るということを意識してもらうためには、このような声かけは必要です。
③約束の時間になったら
遊びをやめる時間になったことを伝えて、片付け始めましょう。「また遅くなるの?」とか「いい加減にしなさい」等は言わずに、
ただ「約束の時間になったよ」「片づけるよ」だけを繰り返し伝えましょう。
この時点で既に怒り気味の保護者の方もいらっしゃいますが、これは逆効果です。
子どもからしたら、遊びをやめて片付け始めたら大人に怒られるかもしれないと思って、なかなか遊びをやめられなくなってしまいます。
また、帰るまでに時間がかかることを見越して、約束の時間よりも早い時間から片づけるように言い、子どもが怒っているという場面を見ることがあります。
これは大人側の約束違反となり逆効果です。大人が約束違反をすればするほど、子どもは大人の言うことを聞かなくなります。
④約束の時間を守らない場合
数分間は、約束の時間が来たことを淡々と伝えましょう。
それで罪悪感を抱いて、こちらの様子を気にしているのであれば、そのまま伝え続ければ良いでしょう。
子どもが罪悪感を抱かずに、何も気にせずに遊んでいる様子であれば、あと何分でどうするかを予告しましょう。
たとえば、親がおもちゃを強制的に片付けるなどを伝え、時間になったら実施しましょう。
予告せずに実施してしまうと、子どもがパニックになったり、被害的に捉えてしまいやすいので、必ず予告することが必要です。
また、予告するだけで実施しない(大人がためらって、何もしない)と、子どもは、大人は言うだけで何もしないと学んで、言うことを聞かなくなります。
⑤遊び終わったら
③の約束の時間がきた段階ですんなり終わることができた場合も、④の時間を守らない段階に突入した上でやっと終わった場合でも、まずは、遊び終わることができたことを評価してあげましょう。
あなたは、自分で自分の行動をコントロールできて偉いねと評価してあげることは非常に大切なことです。
まとめ
場面の切り替えに限ったことではありませんが、子どもを育てていく上で、大人が子どもの適切な行動に注目して、評価するということは非常に大切です。
場面の切り替えが苦手な子どもであれば、その子が場面の切り替えをうまくできた時にたくさん褒めてあげてください。ぜひ、お試しいただければと思います。
公認心理師*やまおさん
経歴:臨床心理士、公認心理師
児童福祉の分野で心理士をしています(20年以上)。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。