手の発達に必要なことって?4つの項目とおすすめ運動も紹介!
作業療法士*てつ先生
2024/01/01
手の発達を促すには?
発達支援において、特に相談が多い「手の発達」に関する内容についてお話ししていきたいと思います。 以前にも手の発達に関する記事を書きましたが、 今回は手の発達に必要な手以外の機能やアプローチ方法をご紹介していきたいと思います。 手の発達を促すには、手以外にも様々な要因があります。
1.手と目の協調性
手を動かす時は、目がしっかり手元に向く必要があります。
ADHDの特性のある子の場合は注意を持続することが苦手であり、それにともない視線が手元に向き続けることが難しくなります。
そのため、視線が周囲のあちらこちらに向いてしまい、上手に物を掴めずによく物を落としたり、
字を書く時の文字が歪んでしまうことがあります。
さらに、細かい手の作業になると、手の運動と手元を見ることを同時に行わなくてはなりません。
見ること、手を動かすことを2つ同時に感じる注意力や集中力が必要になります。
2.手の触覚
発達特性のある子や発達障がいのお子さんで、手の感覚(触覚)が鈍い子は多く見受けられています。 触覚が鈍いために、細かい物などを手指でつまむ際は指の関節が潰れたようになり、必要以上の力を入れすぎてしまうこともあります。 鉛筆やお箸、ハサミなどの道具を使おうとする際は、手の感覚を自分で感じる事で道具を上手に扱うことができる要因の一つでもあります。
3.目で物事を理解する能力
私達は、物の見た目を「重たそう」「軽そう」など、目の前にある物を目で判断することが可能です。
しかし、このような何気ない判断でも発達特性のある子や発達障がいのお子さんにとっては難しいことがあります。
物事を判断したり、予測するといった能力が苦手な子が多いためです。
よく行き当たりばったりの行動をすることがあり、「この行動をしてしまったらこの後はこうなるだろう」などの予測した行動ができず、
周囲の大人に叱られる子をよく見かけます。
このような物事を判断する能力は、手の発達にも影響してきます。
「重そう」「軽そう」「強く握ったら潰れやすそう」など、過去に見た物事の記憶から何かを予測することが苦手なのです。
「予測する」という能力も、手の発達には必要になります。
4.体幹の安定性
手の発達を促すには、体幹の安定性も大切になります。 発達段階で言えば、最初に体幹が発達し、それから手も徐々に発達するため、体幹が安定しなければ手も安定して動かすことが難しくなります。
なぜ体幹の安定性が手の発達に必要なのか
どうして体幹の安定性が手の発達に必要かと言うと、例えば鉛筆で字を書く時は、 身体の筋肉全体に「同時収縮」という現象が身体全体に起こっています。同時収縮という現象は、筋肉が同時に収縮している状態、つまり「全身に力が入っている状態」となります。
そのため、手を動かす時は、全身の筋肉が収縮している状態でもあります。 体幹が弱い状態では、上手く手に力が伝達されないため、手の力が弱くなってしまいます。
手の発達を促すために必要なこと
今回ご紹介した4つの項目に関して、全部を満遍なく鍛えることはとても難しいことなので、 この4つの項目の中で特に優先度が高い「体幹の安定性」を鍛えることをおすすめします。 この体幹の安定性を鍛える遊びや運動は世の中にたくさん存在し、どの運動も効果的です。
おすすめの運動
私がおすすめする運動は「動物歩きの運動」です。 動物歩きの動きとは、床に手をつきながら四つ這いの恰好で歩く動きが多いです。この床に手を着くことがポイントであり、手で身体全体を支えることは体幹と手の発達を鍛えることに繋がり、効果的な動きになります。
さらに、ロバみたいに両手を床につけたまま、両足を空中で蹴り上げる動きも手と体幹の発達を促すうえで効果的な運動になります。
おわりに
体幹の安定性は特に手の発達にも影響します。
人の中心に存在する体幹が安定していなければ、体幹の先にある手も安定して発達することが難しくなります。
人の身体は不思議なもので、身体全体が繋がっているのです。
小さい頃から身体全体を動かすことが、手の発達に良い影響を与えます。
作業療法士*てつ先生
経歴:作業療法士歴11年
作業療法士として働いています!
感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。