エコラリア(オウム返し)が多い、会話にならない…?気になる接し方や受診の目安を紹介!

言語聴覚士*はる

2025/01/13

はじめに

お話できる言葉は増えてきているのに、パパやママ、お友達や先生の言葉をそのまま真似してしまい、会話にならない!という悩みはありませんか? 周りのお友達はどんどん会話が上手になるなかで、自分の子供だけ会話ができないとどんどん心配になりますよね。
今回は、他の人が話した言葉やフレーズをそのまま繰り返す行動(以下エコラリア)についてお話していきます。

エコラリアとは?

エコラリアを聞くと、ただ他の人が話した言葉を繰り返しているように見えますが、子どもにとっては言葉のリズムや構造を理解する練習であり、コミュニケーションの一つです。
エコラリアには「即時エコラリア」と「遅延エコラリア」の2種類があります。 まずそれぞれについて簡単に説明していきますね!

・即時エコラリア

即時エコラリアとは、人が話しかけた言葉をその場ですぐに繰り返す行動です。 たとえば、「ジュース飲む?」と聞かれると、子どもが「ジュース飲む?」とそのまま返してきます。 子どもはこうした繰り返しを通じて音のリズムや言葉の構造を覚え、 コミュニケーションの練習をしています。

・遅延エコラリア

以前に聞いた言葉を数時間後や数日後、数週間後に繰り返す行動です。 遅延エコラリアでは、子どもが覚えた言葉を思い出し、使う練習をしています。 このようにエコラリアには、言葉を学び、理解を深めていくための大切な役割があります。

どちらのエコラリアでも、子どもが言葉の使い方や意味を学ぶために生じるといわれています。 またこの行為を通じて、安心感を得たり、他者とのつながりを試みたりしているのです。

ただ、どちらも言葉自体の意味は十分に理解できていないことが多いです。 言葉をまるごと「音」としてとらえて、リズムや音のパターンを繰り返していることが多いので、 言葉をまるごと繰り返すのみで、会話の内容を理解し返事することにつながりません。
ですが他者とつながるための大切なコミュニケーションツールであることには変わりがないので、 会話にならないことにあまり気を向けすぎず、今できる力を見つめてたくさん褒めてあげて、 楽しいコミュニケーション場面をつくっていきましょう!

エコラリアへの接し方

エコラリアが見られると、パパやママは「このままで大丈夫かな?」と心配に思うかもしれません。
しかし、エコラリアは子どもが成長するための大事な過程の1つであり、 コミュニケーションを試みているサインです。
そのため、「ちゃんとできていないでしょ!」とはねのけるのではなく、「上手だよ」と安心させてあげることが大切です。 それではエコラリアへの接し方について、詳しくご紹介します♪

①自然な表現をさりげなく伝える

例えば、子どもが「ジュースいる?」と繰り返すとき、相手は「ジュースが欲しいの?」と返答し、さりげなく自然な表現を伝えます。 そうすることで、子どもは少しずつ正しい言葉の使い方を学ぶことができるのです。

②「選択肢」を使って発話を促す

エコラリアが見られる場面で、「こっちがいい?それともこっち?」と選択肢を与えます。 言葉でうまく答えられなくても指差しなどで答えられたら、希望したものを提供します。
そうしたやりとりを繰り返すことで、エコラリアでは自分の思いを伝えきれないことを学び、自分の欲求をどのようにしたら伝えられるか学んでいくのです。

③ゆっくり丁寧に話す

話し手がゆっくり、はっきり話しかけることで、子どもは言葉のリズムや構造を感じやすくなります。 焦らずに短い言葉で伝え、子どもが理解しやすいペースで話すこともポイントです。
また、簡単で分かりやすい言葉を使うことも、子どもの言葉の意味理解の成長を伸ばせますよ!

エコラリアは、時間とともに少しずつ変化し、やがて自発的な言葉に移行していきます。 そのため、親としては今すぐ改善させようと焦るのではなく、ゆっくりと子どものペースに合わせて見守ることが大切です。
強制的にやめさせようとすると、子どもが不安に感じたり、コミュニケーションに対する意欲を失ったりする可能性があります。
今その子ができる精一杯のコミュニケーション能力を認めて、受け入れてあげることがコミュニケーションに対する意欲をあげ成長につながるのです。

受診の目安は?

エコラリア自体は定型発達のお子さんだとしても、発達がゆっくりなお子さんだとしても、 すべてのお子さんが言葉の発達過程で必ず現れるものです。
これは言葉の理解が伸びて、相手の言っていることがわかってくると自然に声掛けに対して返答できるようになるので、 エコラリアは減っていきます。大体2-3歳頃まではエコラリアはありますが、これは個人差があります。
3歳以降でも、エコラリアが多く会話が成り立たないことが多い場合は、まずは3歳検診で相談してみるとよいでしょう。
ただ、この年齢にとらわれすぎず、不安が多い場合は専門職のいる機関に相談してみてくださいね。

まとめ

エコラリアは、子どもが成長し、言葉の意味や適切な使い方を少しずつ理解してくると、自然と減少していきます。 これは、子どもがエコラリアを使わなくても、自分の言葉で表現でるんだ!と理解できている証拠です。
つまり、エコラリアが生じているうちはまだ言葉の理解やそのほかの発達途中だということになります。 そのため、無理やり正しい使い方を誘導しても子どもにとっては意味がないので、温かく見守り受け入れてあげましょう!
何よりコミュニケーションをとることが「楽しい!」「もっとしたい!」と思うことが大切なので、 その子のできる言葉の使い方でコミュニケーションを楽しんで過ごしていってくださいね。

言語聴覚士*はる

経歴:言語聴覚士歴:10年目

2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに

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