吃音はどうして出るの?お家でできる改善方法や良い接し方って?

言語聴覚士*はる

2024/12/20

はじめに

「吃音(きつおん)」という言葉をご存知でしょうか? 簡単にいうと、話しているときの「どもり」の症状のことをいいます。 子どもに吃音の症状があると周りの子との会話や学校生活などに支障がないかなど心配することがたくさんありますよね。
今回は吃音についてご紹介し、改善するアプローチ方法についても伝えていきます。

吃音とは

吃音とは、言葉がスムーズに話せなくなる発話の症状です。吃音の主な症状は、大きく分けて3つあります。

・音のくり返し(連発):最初の音をくり返す
例:わ、わ、わ、私は など
・引き伸ばし(伸発):音が伸びる
例:わーたし
・音のつまり(難発、ブロック):言葉の出だしがつまってなかなか出てこない
例:‥‥っわたしは

吃音は、主に幼児期に発症する「発達性吃音」と、10代以降に発症する「獲得性吃音」の2種類に分けられて、 9割は発達性吃音です。 発達性吃音の原因は、7割が子ども自身の体質が吃音になりやすいということが原因で、そのほかにも発達的要因、環境的要因などの要因が絡まりあっています。
吃音は親のせいということは決してないので、パパやママは自分を責めないで下さいね。 また、獲得性吃音の場合は、神経学的の病気や脳の損傷、精神的なストレスなどとされています。

吃音を改善するアプローチ方法

吃音は発症原因に個人差があります。環境要因だったり、心理要因だったり、発達の要因だったりとさまざまなのです。 そのため、1つのアプローチ方法だけを行ってもあまり意味がありません。その子それぞれに合ったアプローチを組み合わせる必要があるのです。
何より大切なのは、吃音を発症して1番困り、かつ不安に感じているのは子ども自身です。 子どもの気持ちに寄り添うことが大切といわれていますよ!
それではここからはお家でできる、吃音のアプローチ方法をいくつか例をあげてご紹介しますね。

①ゆっくり話す

まず手軽にできる方法としてゆっくり話すことです。 仮にゆっくり話して吃音の症状が出ていても指摘などはせず、まず話す速度を落としましょう。
「ゆっくり話す」という行動は吃音だけではなく発音もよく聞こえるのでいいことがたくさんですよ。

②歌を歌う

吃音は歌を歌うときは症状が出ないといわれています。 そのため歌ってリラックスするのはいい方法ですよ。また、話すときも歌うように、音程をつけるのもいい効果がでるといわれています。
子どもの年齢によっては恥ずかしがってしまう子もいると思うので、無理強いはせず一緒に楽しんでやってみましょう!

③斉唱

人と一緒に本を読んだり話したりする練習です。吃音は、誰かと一緒に話すと軽減または消失するといわれています。 本来のなめらかな話し方の感覚を取り戻すという意味でも、斉唱を行うことで、自然な話し方が実感できます。 パパやママだけではなくおじいちゃんおばあちゃん、お友達のパパやママなどいろいろな人とやってみるとよいですよ!
本を読むときは、「上手に読もう」と意識をしすぎてしまう可能性があります。 そういったときは、どもりがでても「大丈夫」と安心する環境を提供してあげましょう!

④環境調整

吃音は、からかわれたり笑われたりすると症状が悪化します。また「何がいいたいの」や「ちゃんとしゃべりなさい」と叱られる場合も同様です。 これは家族だけが関わりを学ぶのではなく、保育園や幼稚園、学校など生活の主体となる場のスタッフも学ぶ必要があります。

〇望ましい関わり方の例
①話し方について言わない 例:ちゃんと話して 何を言ってるかわからない など
②会話の相手はゆっくり話しかけるように心がける
③一生懸命伝えようとしている言葉を先取りしない
④どもっているからといって、言い直しをさせない
⑤本人の言いたいことを最後まで聞く

吃音の軽減には何より今の話し方でも大丈夫という安心感が大切です。 たくさん症状が出て、なかなか話が進まないときも笑ったり顔をしかめたりせず、ゆっくり丁寧に聞く姿勢をつくりましょう。 「相手が受け入れている」という姿勢は、子どもにとってとても安心しますし、発話の意欲も高まります。
また、小さい子は発話訓練の理解が難しいため、環境調整のみで様子をみます。 症状が1年以上続き本人も困り感が出た場合や就学の1年前に発話に対する訓練を行うことが多いです。

まとめ

今回は吃音の紹介と自宅でできる簡単なアプローチについて紹介しました。 実際に吃音の発話に対する訓練は専門的な知識と技術が必要です。そのため、言語聴覚士のいる施設や病院でのリハビリをおすすめします。
吃音の出ているお子さんは不安な気持ちを抱えています。 ご家族の皆様は何より、お子さんが「話しやすい」「話したい」と思える環境をつくることを大切にしてあげてくださいね。

言語聴覚士*はる

経歴:言語聴覚士歴:10年目

2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに

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