「支援級?通級?支援学校?」保護者を悩ませる就学先の選び方
心理師*yamatomo先生
2024/06/15
「この子にとって、最も適した就学先を選びたい…」
特性があるお子さんの場合、複数の就学先の中からどうやって判断すればよいのか、不安になる親御さんも多いと思いのではないでしょうか。判断する際にまず第一に考えたいのは、お子さんのペースに合わせた支援の中で、ストレスの少ない生活ができる環境かどうか、という点です。とはいえ、支援級、通級、特別支援校の違いが分かりにくいと感じている保護者の方は少なくないと思います。3つの選択肢について、特徴とメリット、デメリットを紹介します。進路先選択のポイントとあわせて判断基準の参考にしてみてください。
1. 通級(通級指導教室)
特徴とメリット
・通常学級に在籍しながら、通常授業では一部困難を感じるお子さんが、週に数回、特別な指導を受けるために、別の教室(通級指導教室)に通います。
・通級指導の担当教師と、子どもが在籍する学級の担任の連携によって、支援や指導の計画が行われます。
・通常学級での友人関係や学校生活を維持しながら、必要な支援を受けることができます。
※現時点では知的発達症の子どもは通級指導教室では対象外です。
デメリット
・通級指導が行われる時間は通常の授業時間中であるため、その時間の授業内容を補完する必要があります。
・全ての学校にあるわけではない為、他校への通級の場合、移動時間が子どもの負担になることがあります。
支援級(特別支援学級)
特徴とメリット
・支援級は、通常の小学校内に設置されているクラスです。障害別に学級が編成されており、学年が異なるお子さんで構成されています。学級担任が配属され、教科学習だけでなく、自立活動にも取り組みます。
・一クラスあたりの生徒数が少なく(6~8人)、それぞれの特性に合わせたサポートと指導を受けることが期待できます。
・通常学級のお子さんと一緒に学ぶ交流の機会があります。
デメリット
・通常級との関りは通級に比べると少なくなります。
・学校によっては設置されていないことがあり、通学が遠距離になることもあります。
特別支援校(特別支援学校)
特徴とメリット
・特別支援校は、入学対象となる障害に基準や程度が定められているため、希望すれば誰でも入れるというわけではありません。
・特性の程度や年齢に合わせて、専門の教師やスタッフがきめ細やかな個別の指導が受けられます。1学級は少人数で、3〜6人が標準です。
・学校の教材や設備は、子どもの発達段階に合わせた学習しやすい環境となっています。
デメリット
・通常学級の子どもたちと交流する機会は少ないです。
・学校数が限られるため、自宅から遠い場合、通学が大変になることがあります。
進路先選択のポイント
1. 子どもの特性とニーズを見極める
お子さんにとって、どのような特性を持っているかを把握することが重要です。先生方にお子さんの情報を提供することができ、相談も具体的になります。教育方針や環境調整の方向性が見えてきます。聴覚過敏の場合、音の刺激を少なくする配慮をしてもらえるか、書字が苦手な場合、特性に合った学習ツールを導入してもらえるか、などです。
2. 学校見学や情報収集を行う
できるだけお子さんと一緒に学校を見学し、先生方にお話を伺いましょう。クラスの雰囲気、支援体制や環境を実際に確認することができます。保護者の声が届きやすいかなど、利用している他の保護者の経験談もとても参考になるはずです。
3. 専門家の意見を聞く
医師や発達障害の専門家などの意見を取り入れることで、お子さんの状態をより正確に把握でき、必要な支援がどんなものか明確になっていきます。
4. 子どもの意見を尊重する
子どもの希望や意見を取り入れることも大切です。完璧な環境を探すのは難しいので、保護者の不安が多少残っても、「ここに通ってみたい」という、お子さん自身の前向きな気持ちがあるならば、尊重することで、多少の不便さを乗り越え、学校生活を充実して過ごすことにつなげられます。
最後に
支援級、通級、特別支援校のいずれを選択するにしても、重要なのは、お子さんができるだけ楽しく本人のペースで学校生活を送れるよう、個別に応じた支援が受けられる環境を選ぶことです。地域や学校によって、サポート内容はかなり異なるようなので、就学相談で色々と質問できるといいと思います。先生方と信頼関係を作り、柔軟に対応できる環境で、お子さんと、そして保護者の方にとっても、安心して学校生活を送れるよう願っています。
心理師*yamatomo先生
経歴:公認心理師歴3年
公的機関での療育判定の仕事には10年以上携わり、多くの保護者やお子さんに面談をし、経験を積ませていただきました。現在は発達相談やフリースクールで仕事をしています。