気づけば親ばかり話している。子供との会話が難しい時はどうしたら良い?
ライター:言語聴覚士*はる
2024.11.11
前回は、子どもが一方的に話してしまい会話が成り立たない場合についてご紹介しました。
今回は、会話の意味理解が難しいお子さんや、会話のときに反応が薄く親が一方的に話してしまいコミュニケーションがうまく成り立たないときの対処法についてお伝えします。
子どもが話せるようになってくると、親としてはうれしく思い、たくさん話しかけたくなりますよね。ただその会話がうまく成り立たないと不安になりませんか?
この記事がそんなあなたの参考になればうれしいです。
会話が成り立たない原因は?
親が一方的に話して会話がなりたたない理由は、下記の5つなどが考えられます。
① 人が話していることを理解できない。
② 人から聞かれたことに、上手く答えられない。
③ 会話ができているようでも、話の内容が理解できていない。
④ 一つ一つの単語の意味は理解できていても、会話になると理解ができなくなる。
⑤ 会話への反応が薄い
言葉の理解が難しいと、いくら話しかけても何をいっているのかわからず、返答ができないのです。
また、その子かけに対して笑ったり、真剣な顔をしたり、どんな顔で反応をすればいいかわからないので反応が薄いことが多いです。
会話でのコミュニケーションには、さまざまな能力が必要となります。
人との会話では、相手から聞いたことを、一瞬のうちに頭の中のタンスから、文法や単語の名前や意味を引き出し、理解していくのです。
このように、正しく会話の内容を理解する脳の働きが必要です。話の理解力がない特徴を持つ子は、それができません。
さらに自分が喋る時には、相手に伝えたい内容を、頭の中のタンスから使用すべき単語を選び、文法通りに並び替えて組み合わせ、言葉を発する能力が必要です。
ただ、単語を知っているだけでは文章は話せないのです。
逆に大人のような専門用語を使って喋る特徴の子や、質問に答えるわけではなく声をかけられたことをそのまま真似ている子どもがいたら、
その場合は、意味を理解して言葉を発している訳ではなく耳で聞いた言葉をただ反復している可能性があります。
会話によるコミュニケーションは高度な技術が必要ということが分かりますね。
具体的な対処法
親が一方的に話してしまい会話が成り立たないお子さんへの対処法は、3つあります。
① 言葉の理解を伸ばす
② 短い文章から声かけをする
③ 会話のキャッチボールの様子を見せる
こちらの声かけに対する反応が薄いと、答えてほしい、会話をしたいという気持ちから思わずたくさん声をかけてしまいますよね。
ただ、理解ができないお子さんに対していくら声をかけてもその子は内容を理解できません。
そのため、まずは「言葉の理解を伸ばす」取り組みをしましょう!
言葉の理解を伸ばす取り組みって?
言葉の理解と聞くと、カードを並べたり、イラストを見せたりしながらこっちが言ったものを選べるか見るなどの取り組みもありますが、何より手軽なのは、日々の遊びの中でできる取り組みです。それは、おもちゃ遊びをしている子どもに対して、「ちょうだい」や「〇〇とって」などと声をかけてみるのです。 理解ができていれば、声かけの方に目線をずらして自分が持っているものを渡そうか迷っている仕草や、持っているものを渡したり、言われたものをとってきたりなどの反応がみられるでしょう。 しかし、理解ができていない、聞いていないなどの場合は、全く目線を動かすことなくスルーしたり、目線は向けられるけど、何をすればいいかわからないなどの表情の様子がみられたりするのです。
正しい反応が見られだしたら…
少しずつ正しい反応が見られたら、「〇〇と▲▲とって」などと声かけする文章を長くしていきましょう。 突然長い文章で声をかけられて反応ができなくても、短い文章であれば正しい反応ができることもあります。 「このくらいの文章ならわかるけど、ここからは難しいんだな」と私たちが声をかける長さを工夫する判断材料にもなるのです。やめた方がよい対応は?
ただ、やってはいけないことは間違った反応をしているときに、「こうでしょ!」と怒ったり、やりたくなさそうなのに何度もしつこく声をかけたりするのはやめましょう。
そうすると子どもは「楽しくない」「やりたくない」という気持ちがどんどん大きくなり、取り組みに対して拒否をするようになります。
違うものを持ってきたときは、「ありがとう、こっちが〇〇だよ」と正しいものをさりげなく見せたり、
反応がないときは軽く身体に触れて声をかけてジェスチャーを交えてみるなどの工夫をして、子どもに正しい動作を教えながら「一緒に楽しむ」ということを大切にしてくださいね。
はじめはできなくても、徐々に子どもは理解してくるはずです。
また、本格的な取り組みは「言語聴覚士」という職業のいる病院や児童デイサービスなどで言葉に対する取り組みができるので、心配の際はかかりつけの病院や近くの相談室に行ってみましょう!
まとめ
今回は親が一方的に声をかけてしまい、会話が成り立たない例についてご紹介しました。 日々子どもが遊んでいる生活の中で、一緒に楽しみながら言葉の理解を伸ばす取り組みをしてみてくださいね。 子どもの「楽しい」「もっとやりたい」という気持ちは言葉だけではなくさまざまな面の発達の成長を促しますよ♪
はる
経歴:言語聴覚士 10年目
2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに