【オウチ療育】落ち着きがない子のお家で出来るサポートは?

ライター:作業療法士*てつ先生

2024.07.15

私の経験から常に多動で落ち着きがないと感じるお子さんの中には、身体の感覚が曖昧で、身体に力を入れる事が苦手な為、授業中にもかかわらず身体を動かして揺れている感覚を楽しんだり、関節を動かしてその刺激を楽しむお子さんをよく見かけます。

実は、落ち着きがない背景の1つに「身体を安定させる力が弱い」ことや「脳の活動を安定させるために動いている」事などが挙げられます。今回は、お家で出来る多動な子供に対する支援方法をお伝えしていきたいと思います。

多動っ子におススメお家でもできる療育遊び

だるまさんがころんだ

身体が安定していないお子さんは、自然と身体をゆらゆらさせて動いてしまいます。しかし、それはお子さんにとって動くことがあたり前と感じてしまい、身体を止めることに対して自分で気付きにくくなってしまいます。そのようなお子さんに対する遊びで工夫する点は、動きの中で「身体を止める動き」を取り入れることです。特にだるまさんがころんだの遊びは「動く」と「止まる」動きが合わさった遊びであり、2つの動作のメリハリをつけた遊びになります。

アレンジとして、「だるまさんが〇〇した」とこの〇〇のなかの言葉として「だるまさんがうさぎになった」と言えば、うさぎの姿勢のまま動かずに身体を止まる事ができるか、動物や色々な日常生活の動きを取り入れてみるのも面白いかもしれません。

ものまねゲーム

多動なお子さんは「身体の感覚を感じる能力」が苦手であり、自分の手や足がどう動いているのかを感じる事が苦手であります。そのため、お子さん自身で身体の動きを感じてもらうことが大切です。 自分で動きを感じる事が苦手な場合でも、大人と一緒に身体を動かす経験を積むことで手や足がどのように動いているか理解する事もできます。方法としては、大人が手本となり、ロボットや動物の動きを取り入れながらお子さんも同じように大人の動きを視覚的に真似することです。

この時も、「動く」ことと「止まる」動きを取り入れながら行うとお子さんが動いている感覚と止まっている感覚を感じやすくなります。

家のお手伝いで身体を動かす

どうしても落ち着きがなく動き回ってしまい、大人に注意をされる事も多いと思います。そのようなお子さんは場の状況に合わせた行動が難しい傾向があります。例えば、休み時間でグランドを走り回る事は怒られませんが、それが授業中になれば注意をされてしまうと思います。このような場合、身体を持て余しているお子さんにはお手伝いや役割の中で身体を動かすと良いでしょう。例えば、食事の準備をするために、食器類などを食卓に運んだり、掃除機をかけることは身体の関節をたくさん動かすため、動き足りないお子さんにとってそのニーズを補える事ができるからです。

紹介した以外のお手伝いでも、窓を拭いたりするなど手や足の関節をたくさん動かせるよう全身の動きを取り入れながらお手伝いをすると、動く必要がある状況では動くという認識が高くなります。お手伝いができたらしっかり褒めてあげる事も大切です。

多動なお子さんに対する声かけについて

どうしても落ち着きがないお子さんは、学校や公共の場では「静かにしなさい」「落ち着いて」などそのような言葉を大人に掛けられることが多いのではないでしょうか。もし、お家でも親御さんに何度も注意をされたらお子さんは行き場がなくなると思います。私が思う事は、無理にお子さんに注意をし過ぎることはあまり良くないということです。多動になるお子さんの中には、身体を安定させる力が弱い理由もありますが、それ以外にも脳の活動を安定させるために動いている事もあります。動いていることには必ず理由があります。逆に無理矢理にお子さんの動きを止めてしまうと余計に動き回ってしまうかもしれません。せめてお家では、無暗にお子さんの動きを止めることは控え、暖かく見守ってあげましょう。

おわりに

お子さんにとって動く事は、脳の活動を維持するためでもあり、そのお子さんにとって必要だから動いているかもしれません。大人が注意をしても、お子さんは「何で怒られているの?」と感じているかもしれません。 実際に私の放課後デイサービスに通っているお子さんの中にはそのような子も多く見受けられています。「動いている」ことには必ず理由があります。それを常に念頭に置くことで、糸口が見えてくるかもしれません。

ただ、言えることは、お子さんを落ち着かせるために注意をし過ぎることもあまり良いとはいえません。外でも注意され、お家でも注意をされたらそのお子さんの安心する場所が無くなってしまうかもしれません。無理に落ち着かせる必要はなく、お家でも落ち着きがない時は、お手伝いなどの目的をもった行動を経験させてあげてみましょう。目的をもって行動することで、「動いていい場面」と「静かにしないといけない場面」の区別を理解する練習にもなります。このお手伝いの声かけに対しても、お子さんがしたくない時に無理は不要です。暖かく眼の前のお子さんを見守りましょう。

てつ先生

経歴:作業療法士 11年目

作業療法士として働いています! 感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。

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