【微細運動】遊びながらできる!手指の発達の促し方

ライター:てつ先生

2024.04.26

最近では、発達障がいのお子さんに限らず、定型発達のお子さんにも手先を使う日常生活動作に苦労しているお子さんが多いと感じます。日常生活動作とは、箸を使った食事動作や服を着替える際のボタン止め、靴紐やハサミを使用する際の動作などのことです。

就学前に適切な手指の運動やトレーニングを行うことで、手指の発達にも効果的で、就学後も1人で出来ることが増えていきます。今回は、幼児期からできる手指の発達を促す効果的なトレーニングや遊びをご紹介します。(合わせて手指の発達を促すうえで効率的な手の使い方に関しても専門的視点で解説していきたいと思います。)

発達を促すうえ意識したいこと①

手指の遊びやトレーニングをする際に、意識してほしいのは「手首を立てる」ことです。じつは、人は手首を下に下げたまま指を動かすと、手首を立てた時よりも指先に力が入りづらくなります。

このように手首を立てる状態(専門用語で背屈の動きといいます)は、指先に力が入りやすい状態です。手首を立てることで腱固定作用が高まり、指先の力が入りやすくなります。そうすることで、手指の機能を効率よく上げる事が出来ます。

発達を促すうえ意識したいこと②

よく見かけるのは、テーブル上に置かれた貯金箱にコインを入れる遊びやストロー入れなど「水平面」での遊びをよく見かけます。水平面での動きでは、手首が垂れ下がった状態のまま指を動かしてしまうため、指にも力が入りづらくなってしまいます。

しかし、私が意識していただきたいことは「垂直面」です。垂直面を意識した遊びやトレーニングでは、手指を細かく動かすために必要な筋肉(手内筋)の発達を促す事が可能であり、この手内筋をバランス良く鍛える事ができます。この手内筋は、手の中にある細かい筋肉で指を細かく動かす際に働いています。

壁にお絵描き&シールはり

多くのお子さんは、何気なく休み時間などで黒板やホワイトボードがあればつい何かを書きたくなってしまうのではないでしょうか。この何気ない黒板でのお絵描きも手首を立てた動きであり、重力に抗して腕や肩を挙げているため、手指や腕の発達を促すうえで効果的な遊びとなります。先生や大人と楽しくお絵描きをするのもいいかもしれません。

シール貼りでもお子さんが好きなアニメのキャラクターのシールを使用するとより楽しく遊びに参加する事ができます。例えば、どれだけたくさんのシールをボードに貼る事ができるか、大人と競い合うゲームも楽しく参加することができます。シールをボードや壁に貼り付ける動きは、特に親指をたくさん動かすトレーニングにもなります。

"垂直”コイン入れ

机上でのコイン入れはよく療育の場面でよく見られる光景ではないでしょうか。それを、垂直面に変えるだけでも大きな効果を起こすことができます。箱を壁に立て掛け、指でコインを摘まみながら箱の中に入れる動きは、手指の発達を促す肢位でもある手首を立て、重力に抗して腕を上げるためより発達を促すことができます。

壁の新聞を叩き落せ!ゲーム

壁に丸めた新聞紙をテープで貼り付け、その壁に貼り付けてある新聞紙を棒で叩いて落としていくいわゆる「新聞叩きゲーム」もおすすめです。制限時間を設定し、時間以内にどれくらいの新聞紙を叩き落とす事ができるか、ゲーム要素を取り入れた活動はお子さんにとっても楽しめる遊びです。

この遊びは、手指や腕の筋肉の発達を促すだけではなく、目と手の協調性を高める事もできます。お家や学校など、様々な場所で取り入れる事ができる遊びなので、ぜひ試してみてください

身近なお手伝いが微細運動?

家事のお手伝いなどの日常生活動作でも、自然と手指の発達を促す事ができます。例えば、洗濯物を干すお手伝いは洗濯バサミを開閉するために指の摘まみ動作をくり返し行うため、自然と手指を鍛える事ができます。 その他にも食器を運ぶお手伝いや、窓拭きのお手伝いは手指の発達を促す動きでもあります。

まとめ

このように活動を机上などの水平面から垂直面に変えるだけでも、ごく普通の遊びを効果的な手先のトレーニングに変えることができます。ですが大切な事は、お子さんが楽しんで参加できることです。

てつ先生

経歴:作業療法士 11年目

作業療法士として働いています! 感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。

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