指差しをしないと発達障がいなの?原因と指差しを促し方

ライター:けい先生

2024.05.31

子どもが生まれて初めにある大きな健診、1歳半健診があります。1歳半健診ではほぼ必ず「お子さんは指差しをしますか?」と聞かれます。そして「指差しをしない」と検索すると、発達障がいに触れるサイトにたどり着くこともあります。このような情報を目にすると、不安になってるママパパが多いかもしれません。

結論から言うと、「指差しをしない=発達障がい」ではありません。ですが、子どものコミュニケーションの発達において指差しは大切なポイントになはなっています。この記事では指差しをしない原因や指差しを促す方法について公認心理師が解説します。

指差しの意味と時期

生まれてすぐの赤ちゃんは自他の区別がついていません。ですが次第におもちゃを握ったり、物を落としたりして、自分と物との関係が分かるようになります。また「ご機嫌ですね」などと声をかけてもらうといったことから、次第に自他の区別がつき、1対1のかかわりをもてるようになります。この頃が、子ども-他者、子ども-物、という2つの関係(二項関係)で世界を認識している時期です。

生後9~10ヶ月頃になると、自分-他者-物という3つの関係(三項関係)を認識し始めます。そうすると、他者が自分少し離れたところにある物ごとに目を向けた時、自分もそちらを見る、というように、他者と同じことに関心を向ける、他者と興味を共有する、ということ(=「共同注意」と言われるものです)が現れます。

この頃、「ブーブーだね」とママが車を指差すとそちらを見るようになります。そして次第に自分も「あ、あ」とバスが走るのを指差し、他者に「バスが走ってる!」「ぼく、これ好き!」などといった気持ちを伝えるようになるのです。指差しは、ことばの代わりに誰かに何かを伝える時にするもので『ことばの代理機能』とも言われます。「伝えたい」という気持ちの表れであり、コミュニケーションの最初の手段になります。

指差しをしない原因は…発達障がい?

発達障がい、特に自閉症スペクトラム症の場合、診断基準の一つにコミュニケーションの遅れがあります。そのため、「伝えたい」という気持ちが出にくいこと、人よりも物への興味が強いため、自分-他者-物という3つの関係(三項関係)を認識しにくいことがあります。その結果、指差しをするのが遅れたり、欲しい物があっても指差しの代わりに人の手を引き、手を道具のように使って取ってもらおうとすること(=クレーン行動)が見られたりします。

ただ、「指差しをせずクレーン行動がある」=「発達障がい」ではありません。発達障害のお子さんでなくても、指差しが遅れたり、クレーン行動が見られることはあります。 また発達障がいのお子さんでも、指差しはするようになり、クレーン行動もなくなっていきます。

指差しを促すにはどうしたらいい?

保護者の方によくどのように促せばいいかというご相談をいただくのでいくつかご紹介させていただきますね!

▶「伝えたい」という気持ちを引き出す

指差しをしないお子さんの中には、静かに一人で遊べるお子さんも少なくありませんが、裏を返せば「伝えたい」という気持ちが出てきにくいということでもあります。ママパパがお子さんが「もっとやって!」という気持ちがたくさん出てくる遊びを工夫します。また、好きな物、好きな事を見せ、「欲しい」「やりたい」といった気持ちを引き出します。

▶自分-他者-物という3つの関係(三項関係)を認識させる

おもちゃやお菓子等を見えるところに置き、ママパパが指差しをして見せます。お子さんが手を差し伸べたり、「あ、あ」と言ったりした時に「〇〇があったね」「お菓子、食べたいね」と、一緒に見ていることを伝えるようにします。ママパパに「伝わっているよ」ということを知らせることが大切です。 少しずつ、遠くに物を置くようにして、指差しが便利だということを教えていきます。

▶まねっこの力を育てる

人への興味があれば、勝手にまねっこをして指差しをするようになりますが、人への興味が少ないとまねっこの力は育ちにくく、指差しも遅れます。ママパパがお子さんのまねをし、「同じがおもしろい!」ということに気付くと、お子さんが他者のまねをするようになります。まねっこの力がつくと、指差しだけでなくことばや身辺自立など様々な発達が促されます。

▶指差しの形を取らせる

欲しい物、やりたい事を見せ、お子さんの気を引きながら、お子さんが手を差し出した時に、その手を取って指差しの形を取らせます。無理強いではなく、人差し指以外の指をそっと曲げる、おおう、という程度で大丈夫です。

おわりに

指差しができるようになると、お子さんは自分の意思が伝わるようになり、「伝わってうれしい」「もっと伝えたい」という気持ちが育ちます。これがコミュニケーションの力となり、ことばの発達にもつながります。 大切な発達のポイントになりますので、気になる様子があったら、地域の保健センターや健診などで相談してみましょう。

けい先生

経歴:公認心理師 27年目

心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。