【こんな時どうする?】
場所見知り・人見知りが激しい子
ライター:公認心理師*けい先生
2024.05.01
子どもはご機嫌よく、笑顔でいてほしい…親なら誰もがそう思ってると思います。子どもには多かれ少なかれ、知らない場所に行くことや、誰かに顔をのぞきこまれることを嫌がる時期がありますが、あまりに激しい場所見知り、人見知りが長期間続くと心配になってしまいますよね。
その内、なくなるものなのか、何もしなくてもいいのかと見通しが持てないこともあると思います。何より、お出かけの際は本当に大変で、周囲に申し訳ない気持ちにもなるため、外出が億劫になってしまうママパパもいると思います。このように場所見知りや人見知りが激しいお子さんのことどう考えて対応すると良いかご紹介いたします。
場所見知り、人見知りは誰もが通る道
▶時期はどれくらい?
一般的には生後6か月くらいから2歳くらいまでが多いですが、もっと早くから始まったり、1歳過ぎてから始まったりすることもあります。個人差はありますが、いずれは収まっていきますので、無理強いはせず見守っていくのが一般的な対応です。
▶どうして起こるの?
慣れない場所に不安を感じ、場所見知りをするのは、安心な場所とそうでない場所の違いが分かるようになってきたからです。 人見知りをするのは、親やそれに代わる養育者との絆ができたためで、子どもが順調に発達している証拠です。自分にとって特別な人、この人がいれば安心、という絆を安全基地にして、少しずつ自分の世界を広げていきます。
激しくなる原因ってなに?
▶育て方が原因?
一般的な場所見知り、人見知りとは様相が異なり、例えば、何度も会っている祖父母が顔を見るだけで大泣きをする、何度も行っている遊び場でも泣き続ける、親がそばにいても長時間泣く、といったお子さんもいます。親は自分の育て方がよくなかったのかと悩むこともあるかもしれませんが、決して育て方に問題があるわけではありません。
▶激しい場所見知り・人見知りする理由
人見知り、場所見知りが激しいお子さんで、もしも赤ちゃんの頃から、小さな物音に反応したり、夜なかなか寝なかったり、偏食があったり…といったことがあるようなら、感覚が過敏で不安になりやすい、といった生まれもった脳機能の要因があるかもしれません。過敏さは年齢が低いほど激しい表れ方をするので、親や周囲はとても大変ですが、状況が理解できるようになると少しずつ収まっていくため、様々な工夫をしながら見守ることになります。
激しい時はどう対応すればいい?
▶そっと見守ることを周囲にお願いする
かわいいお子さんを見ると、大人はつい声をかけたりのぞき込んだりしてしまいますが、「少し敏感な子なので」「人見知りなので」と周囲に理解を求めつつ、親がリラックスして楽しむようにしましょう。親が安心して過ごしているのを見ていると、少しずつ場所見知り、人見知りが弱まってその場に安心していられるようになります。
▶なるべく積極的に外に出る
場所見知り、人見知りが激しいからといって家の中で親とだけで過ごしていると、益々、人慣れ、場所慣れが遅くなります。敏感なお子さんにとっては人ごみや騒音が激しいところは、お子さんにとって苦痛でしかありませんが、人の少ない時間帯の公園に連れて行く、空いているスーパーにお散歩がてら連れて行くなど、徐々に外の刺激に慣れるようにしましょう。
▶無理強いはしない
同年代の子ども同士が一緒に楽しそうに遊んでいるのを見ると、やきもきするかもしれませんが、お子さんのペースを大事にしましょう。もしも他のお子さんをじっと見ているようなら、見ているだけの参加を尊重します。一緒に遊びたい様子なら、代わりに親が声をかける、親が一緒に遊ぶ、などのきっかけ作りを手伝い、安心して楽しめるようにしましょう。
▶大泣きが始まったら…
周囲に迷惑をかけ、いたたまれなくなると、泣き止ませようと焦り、構い続けたりすることもあるかもしれません。ですが、親が焦る気持ちや行動にお子さんは敏感に反応し、さらに不安になることもあります。まずは親が気持ちを落ち着け、いつも通り平然と接するようにしましょう。
おわりに
場所見知りや人見知りが激しいだけでなく、その他にも困った行動や発達の遅れがあるようなら、様子を見ようと日を過ごさず、思い切って相談機関を利用しましょう。お住まいの近くに保健センターや子育て支援センターは子育ての相談に乗ってくれます。地域によっては心理士がいたり、遊びのグループを紹介してくれたりするかもしれません。このような場であれば様々なお子さんを見ている専門家がいるので、安心して連れて行くことができます。 お子さんが嫌な思いをしたり、困ったりすることが少なくなるよう、あまり気負わず、できることから始めていきましょう。
けい先生
経歴:公認心理師 27年目
心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。