外出先で衝動的に行動しやすい子への対応って?【後編】

ライター:公認心理師*やまおさん

2024.10.09

前編はこちら
外出先で衝動的に行動しやすい子への対応って?【後編】	のバナー画像

後編 ~外出先に着いてから~

目的地の手前で落ち着くように伝えて、子どもが落ち着いた後はお出かけの時の約束事を伝えましょう。

事前に言い聞かせたいことは
たくさんあるけど…

大人としては子ども達に伝えたいことは山ほどありますが、子どもは長時間話を聞いておくことはできません。 子どもが落ち着いたところで、以下の3つぐらいを伝えると良いでしょう。
・今のように落ち着いて行動して楽しんでほしいこと
・困ったことがあったら周囲の大人に相談すること
・必ず大人の話は聞くこと


そして、具体的に今からどう行動するのかを伝えて、大人先導のもとに動いていきましょう。 大人よりも前に出ないということを約束していれば、衝動的に行動してしまうことを予防しやすくなります。

普段から衝動的な様子が見られる場合は

また、普段から衝動的な行動が見られやすい子どもに対しては、クールダウンの方法も事前に決めておきましょう。 大人が「落ち着かないな」と判断したらベンチに10分座る等の具体的な方法を決めておくのが有効です。 落ち着けばまた楽しむことができる、ということが分かれば子どももクールダウンの指示を受け入れやすくなります。

なお、私は外出中の約束としてこの2点を大切にしています。
・その場に不適切な大声を出さない
・走らない

テーマパークなどで大きな声を出して楽しむことはとても良いことなので、大声を出してはいけないとは言いません。 しかし、その場に適した音量というものは必ずあります。また、必要以上に大きいと…

子どもが必要以上に大きな声を出したり
走りまわる

それが自己刺激になる

さらに衝動的になりやすくなる

(そんな様子を見て、他の子も衝動的になったりする)

こういった事態が考えられます。これらを防ぐために「私が、それは声が大きすぎるなと思ったり、ここでは走らないで欲しいと思ったら声をかけるから、その時には従って」と前もって伝えています。

安全を最優先する

子どもがどうしても落ち着かない、大人の話も聞けなくなったとなれば、その場面は、その子にとって刺激過多で安全ではないということです。 そうなってしまうと、その場から離れるという選択を取らざるをえません。

事前に約束と了承をとる

もちろん、いきなり「話を聞けないから帰るよ」と言われたら、子どもは怒るでしょう。
予防するには、まずは事前にそういう約束をして、子どもの了承を取っておくことです。 何か問題が起こってから対応策を提示しても、子どもは受け入れられません。
「今のままでは、帰るしかないよ。お話を聞ける?」と提示した上で、子どもが落ち着くのであればチャンスをあげましょう。

しかし、それも繰り返していくうちに効果は薄れます。どこかで「これが最後のチャンス」と伝える必要はあります。 それでも落ち着かないのであれば、その場を離れましょう。周囲から見れば、かわいそうなことかもしれません。 しかし、大人の話を聞けなかったり、周囲に迷惑をかけた上で、その子どもが楽しんでいる状況は適切ではありませんし、その子のためにもなりません。

一度決めたら実行する

一度その場を離れると決めたなら、必ず実行する必要があります。 「もう帰るよ」と大人が言っても、子どもが駄々をこねた結果、「帰らない」となってしまえば、 子どもは駄々をこねたら良いことや、大人の話を聞けなくても楽しいことができるということを学習してしまいます。

しかし一度失敗したから、しばらくは外出させないというのは良くありません。子どもに挽回する機会を与えてあげることが望ましいです。
失敗したのは、その子どもの状態に対して刺激が強すぎた(多すぎた)と考えて、外出先を変えて刺激が少ないところから、徐々にステップアップしていきましょう。

皆で楽しめる外出を

流行しているから、話題だから、みんなが行っているから等の理由で、無理に刺激が強い(多い)場所に行く必要はありません。 子ども本人とその周囲の人も安心して楽しめる場所に行けば良いのです。 大人が子どもを叱らなくても、子どもが自然に楽しめような外出先を選んでもらえると良いでしょう。

やまおさん

経歴:公認心理師 20年
児童福祉の分野で心理士をしています。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。


関連コラムのご紹介
場面に合った切り替えが苦手な子に!声のかけ方例&NGな接し方は?のバナー画像
自己主張が強い子への対応はどうすべき?のバナー画像
自傷や癇癪の対応って?どう止めたり抑えるの?のバナー画像

戻る