健診で聞かれる「模倣をしますか?」の理由と重要性

ライター:言語聴覚士*はる

2024.09.11

子どもが成長するにつれて、どんどんパパやママの真似をしますよね? 安全なことだけならいいのですが、時には危険なことまで一緒になってやろうとしてしまうことはありませんか? 「なんで真似するんだろう」と思うパパやママも少なくないはず。
今回は、なぜ子どもは大人の真似をするのか、理由と対策についてご紹介します。 親の真似をする子どもの心理には大きく分けて2つの要因が考えられます。

1.成長・学びのため

人は他人を真似することで、社会の中で生きていくためのルールを身に着け、知識や技術を習得します。 例えば、おもちゃの貸し借りの順番やおにごっこやかくれんぼのルールなども、人と関わっていく中で覚えていきますよね。 子どもにとって、親の行動や言葉を模倣することは、自分自身の成長にとって重要な学びの手段となります。

2.親への愛着

「ママやパパが大好き」といった親への気持ちから、子どもは親の行動を真似し始めます。 これは後に、親への感謝や尊敬の気持ちを育みます。 例えば、子どもが親の真似をして「えらいね」と頭をなでたり、お料理ごっこをするのは、 大好きなパパやママをしっかり見ている証拠であり、それを褒めてもらえることでその子の自尊心も上がっていきます。

乳幼児はなぜ模倣をするの?

乳幼児は大人の行動に対して、なぜその行動をとるのか理由がわからない場合に真似をするそうです。 例えば、ママやパパがテレビを見るのにリモコンをたくさん使いますよね。そうすると赤ちゃんは必然的にリモコンが気になってきます。 そして手に取って沢山なめて、そのあとはボタンを押して、この機械はなんのためにあるのか理解していきます。

赤ちゃんは、パパやママを通じて、自分が生きている世界を徐々に知っていくのです。 その中で、新しいパターンに出会ったり、今までの自分の経験では理解できないと思ったりすることが起こります。 すると、なんでパパママはこの行動をしたんだろう!?何か意味があるはずだ!と思って真似をして、その行動の背景を知ろうとするのです。 子どもは大人の行動をしっかり見て知ろうと真似をし、さらに学びを深めることを自然にしていきます。

友達や先生など、身近な人の
真似っこをする理由は?

子どもは親の真似だけではなく、友達や先生など身近な人を見て真似ることも増えてきます。 これは、身近な人の行動をみて「同じことをしたいな」と憧れの気持ちをもって、思うことから始まります。 この「この人みたいになりたい」「同じようにしてみたい」という気持ちは、真似の動作だけではなく、 言葉や新しい動作の理解などさまざまな面で成長につながるので、とても大切な気持ちです。

そして同じように真似をすることで、自分の憧れている行動が、どのようにしたらできるのかという方法を学ぶのです。 何度も真似を繰り返していくうちに、個性や自主性が芽生えます。「自分だったらこうしたいな」という気持ちになり、自分なりのやり方というものでチャレンジして覚えていきます。
そのため、真似は悪いことではありません。子どもの成長の途中段階としてやっているものだと親が理解してあげることで、温かく見守ることができますよ。

悪い行動の真似が見られたときは?

真似は悪いことではありませんが、時には悪い言葉やきつい態度なども真似をしてお友達と喧嘩をしたり、嫌なことをされたときに使ってしまうこともありますよね。 そんなときは、「なんでそんなこというの!」などと強く怒ってしまいがちだとは思いますが、その行動や言葉が相手にどんな影響をもたらすのかわかりやすく伝えることが大切になります。

「もう少し優しく言ってあげないとお友達びっくりしちゃうよ」や「今のことば、言われたらどう?嬉しい?悲しい?悲しかったら優しく伝えてあげよう」などと、 はじめは理解できなくても継続して伝えてあげましょう。

まとめ

今回は子どもが親の真似をする理由やその重要性についてご紹介しました。 「真似」という行為は、子どもの成長過程においてとても重要だということがわかりましたね。
時には、わずらわしく感じてしまうこともあると思いますが、自分のことを慕って、よく見ているからこそ「真似」をしているということを理解し、暖かく見守ってあげてくださいね。

はる

経歴:言語聴覚士 10年目

2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに


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