【不器用さん必見】紐を上手に結べない子へのサポート

作業療法士*てつ先生

2025/02/04

はじめに

紐を結ぶことは、手先の細かい動きでもあります。
「手先の不器用なお子さんは紐を結ぶなどの細かい作業が苦手」とよく言われています。
手先が不器用なお子さんは、ADHDや発達性協調運動障害といわれる特性のなかで見られる症状でもあります。
しかし、「手先が不器用って一体何?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、紐を結ぶ動きに代表される手先が不器用な原因や支援について解説していきたいと思います。

紐を結ぶことが苦手になる原因は?

紐を結ぶ動きは、手先を使う細かい動きでもあり、専門的には「微細運動」といいます。
発達障がいのお子さんの特性として共通する1つに「手先の不器用」が挙げられます。
この手先の不器用さが原因で紐を結ぶなどの細かい作業が苦手になってしまうと考えられます。不器用について知るにはまず手の構造について知る必要があります。

手の構造について

よく本やネットなどを見て「不器用って何だろう?」と思う方もいたかもしれません。
手先が不器用とは専門用語では「手指の分離運動が苦手」であることを言います。手指は、親指・人差し指・中指・薬指・小指の5本の指で構成されています。 この5本の指をグループに分けてみると「親指、人差し指、中指」と「薬指、小指」に分かれるのです。

親指、人差し指、中指の役割について

親指、人差し指、中指は機能性を担う指です。機能性とは、道具を操作するために動かすことを意味します。
例えば、ハサミの動きは、親指と人差し指が支点となって動きます。輪の中に入っている親指は紙を切るために開閉運動を繰り返しながら動かし、人差し指は紙を切る方向の安定性とハサミの開閉運動のために動きます。
箸を動かす時は、親指、人差し指、中指の3本の指で上箸を動かします。鉛筆で字を書く時も、3本の指で鉛筆を動かします。

薬指と小指の役割について

薬指と小指は固定性の役割を担います。固定制とは、手や道具を安定させるために固定する役割のことを意味します。
ハサミを使う時の薬指と小指の役割は、ハサミ本体を安定させるために下の輪に入れて安定させ、箸での薬指と小指の役割は、下箸を安定させるために固定する役割を担っています。

不器用=手指の分離運動が苦手

それぞれの指の役割が上手く機能していない場合に手先の不器用さが見られます。紐を結ぶ動作では、紐を持つ時は、親指、人差し指、中指の機能性を担っている指が主に使用します。
しかし、不器用なお子さんは手指の分離運動が苦手であるため、指の機能性と固定性の役割の意識が低いことが原因となり、紐を結ぶ動きだけではなく細かい動き全般において苦手さが見られると考えられます。
そのため、手指の分離運動を促すことが紐を上手に結べない子への効果的な支援となります。

紐を上手に結べない子への支援とは?

紐を上手に結ぶことが苦手なお子さんに、繰り返し紐を結ぶ練習は少し大変かもしれません。
紐は特に細かい作業になるため、段階を踏んで練習していくことをおすすめします。紐を結ぶ時は、左右の手指を同時に使用するため、左右の手を一緒に使う練習も必要になります。
練習方法としては、左右の親指、人差し指、中指で小さいビー玉などを摘まみ、壁に立て掛けてある箱に入れる遊びやコインを3本の指で摘まんで箱に入れる遊びをおすすめします。
遊びの中で動かす指と固定する指を意識していただきながら、併用して紐を結ぶ練習をしていくことが理想です。 紐を結ぶ練習では、最初に紐を交差する練習を行います。紐を交差することができたら次に玉結びをしていきましょう。

おわりに

紐を結ぶ動きは、手指の細かい作業でもあるため、手指の発達を促す必要があります。手指の発達を促すためには、手指の分離した運動が必要です。
手指にも役割があり、役割を意識した遊びなどを行うことが効果的です。

作業療法士*てつ先生

経歴:作業療法士歴11年

作業療法士として働いています! 感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。

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