発達特性による園でのお友達トラブル…対処法は?
ライター:保育士*ひよこ先生
2024.05.19
保育園や幼稚園でなどにおける集団生活の中で、発達特性が原因となるお友達トラブルが発生することがあります。そのため、ママパパ、園の先生含めて個々の特性について正しく理解してその子の感情の理解を促すアプローチや、本人や周りのお友達がお互いに気持ちよくコミュニケーションができるようなサポート必要です。
友達トラブルの原因は?
保育園や幼稚園での友達トラブルは、発達特性によるさまざまな要因から生じます。その具体的な原因をいくつか紹介します。
*コミュニケーションの違い*
発達特性により、子ども達のコミュニケーションスタイルが異なります。そもそも未就学児は、言葉の理解や表現能力が他の友達と差があるため、誤解が生じやすくなります。さらに感情の表現が難しい子は、トラブルに発展しやすい傾向にあります。
*感覚過敏によるもの*
発達特性のある子は、五感に対する感度が高く、音や光、触れるものに対して過敏に反応することがあります。例えば園生活の中では、みんなで歌を歌う時のピアノの音に過剰に反応して耳をふさいで部屋から出て行ってしまう、粘土遊びや泥んこ遊びができない、ある特定の食材が絶対に食べられない等です。そういった感覚過敏が原因で他の子供たちとの遊びや園生活の中で、トラブルが生じることがあります。
*社会的スキルの違い*
発達特性により、社会的スキルの発達に差があります。友達の気持ちを考えたりする能力や協力するスキルに違いが出ることがあります。
対処法はある?
友達トラブルに対処するために、保護者や先生ができることを考えましょう。
*感情の理解を促す*
発達特性のある子に感情の理解を促すために、絵カードやストーリーを活用して感情表現を学ぶ機会を提供しましょう。(絵カードとは、カードに単語とそのイラストが描いてあるもので、保育園では発達特性のある子に使われていることが多いアイテムです。絵カードで次の行動を示すことで、その子が次に何をすればいいのかが理解できたり、自分の気持ちを相手に伝える手助けができたりします。)その時に「相手の気持ちを考える」という視点を育てることがポイントです。例えば、発達特性のある子は友達との適切な距離感がつかめず、トラブルになったりします。「近い」という言葉だけでは、なかなか距離感はつかめないので、実際に確認したり、視覚から分かりやすく伝えたりすることが重要です。お友達との距離が近くて嫌がっているイラストなどを見せて「お友達はどう感じるかな?」と相手の気持ちを考えてみるのもいいと思います。
*コミュニケーションスキルのトレーニング*
コミュニケーションスキルの向上のために、個々の発達特性に合わせたトレーニングを取り入れます。まずは自分の要求や気持ちを相手に伝える方法を学びますが、言葉の発達段階に応じて、視覚からの理解を促す絵カードを使うのが有効です。
ママパパに出来ること
保護者は、子供たちの友達関係をサポートする重要な役割を果たします。
*発達特性のある子への理解と受容*
まずは、その子が家庭で保護者に愛され受容されているという実感を持てるように接することが重要です。これは発達特性の有無に関わらず言えることですが、保護者に愛され受け入れられているという感覚は、集団生活でお友達関わるうえでの精神的な土台となります。
*発感覚過敏への理解と配慮*
感覚過敏な子に対して、保護者や先生は正しく理解し配慮をすることが大切です。騒音や明るい光、触れるものに対して過敏な子がいる場合、環境の調整を行います。また、周りの子にそれを説明して理解を求めることも重要です。みんなと同じ活動をしない(できない)子に対して、他の子が疑問に感じることがよくあります。それをあらかじめ説明しておくことでトラブルを予防できることがあります。
*協力の重要性を伝える*
保護者は子供たちに協力の重要性を教える役割を果たします。その子の発達特性を十分に理解し受け入れたうえで、「友達と一緒に遊ぶことで楽しいことが増える」「お互いに助け合うことが大切」というメッセージを日々の生活の中で伝えていきましょう。
まとめ
保育園での発達特性によるお友達トラブルは、子供たちの成長にとって重要な課題です。保護者と園の担任の先生は密に連絡を取り合い、その子の苦手なことや得意なこと等を共有すると共に、どのような対応をしたらその子自身と周りの友達がお互いに気持ちよく生活ができるのか考えていく必要があります。保護者や先生が正しい理解と適切なサポートをしてどの子も楽しく、のびのびと園生活が送れるようにしていきたいですね。
ひよこ先生
経歴:保育士 18年目
保育士経験18年。すでに成人した3人の娘の母です。