【こだわり行動】止めさせるべき?どうするのが正解?

ライター:公認心理師*やまおさん*

2024.06.10

子どもが特定の行動を繰り返すような「こだわり行動」。日々一緒に過ごしているママパパは止めた方がいいのか、見守るべきなのか迷いますよね。今回は、どう対応していくのが良いのか紹介していこうと思います。こだわり行動で保護者の方からの相談が多いので先にお伝えしてしておくのですが、お子様の事で心配だなと思われている場合は、医療機関や相談機関に行かれることをおすすめします。その上で、おうちでどう関わっていくかヒントになれば幸いです。

「こだわり行動」について観察してみる

まずは、子どものこだわり行動がどんな時に起こりどういうものなのか冷静に観察して考えてみましょう。

一つ目に「こだわり行動」のどこを修正したいのか、を考えてみましょう。行動自体を修正したいのか?その行動にこだわることを修正したいのか?という視点があります。例えば、食事の前などに手を洗うという行動は状況に合った行動ですので修正する必要はありません。しかし、一回の手洗いで何分も洗い続けている、行動を切り替えるたびに手を洗うことで手を洗ってばかりいるとなれば、その行動は修正しなければいけません。

2つ目は、その行動を本当に修正しなければいけないのかどうか?ということです。自傷他害につながる行動はすぐに修正する必要があります。しかし、誰にも迷惑をかけないような「こだわり行動」もあります。例えば、偏食のように、本人が困りそうなものもあります。しかし、偏食に関しては、専門家の指導のもとで足りない栄養素をサプリなどで補完するという手段もあったりするわけです。その行動が本当に修正しなければならない行動なのかを冷静に考えてみましょう。

3つ目は、原因探しはほどほどにする。です。今の多くの人の考え方は、何かこだわり行動が子どもに出ているということは、何らかの原因があるはずだと考えてしまいます。しかし、特に子どもの不適切な行動の場合、明確な原因が分からないことがよくあります。また、原因を特定して原因を除去したとしても「こだわり行動」がなくなるとは限りません。

「こだわり行動」に注目しすぎない

お子さまをアセスメント(専門家による評価)した際に、「こだわり行動」を減らしていくことが、その子どもにとって望ましいとなれば、対応していく必要があります。心理学的に考えると、ある行動を減らしたいと考えた場合、その行動が出た場合に悪い結果を伴うことでその行動が減る可能性が高くなります。そこで大人は、子どもが「こだわり行動」をした時に注意をしたり、時には叱ったりすることがあると思います。

しかし、子育て支援の現場で「子どもは、大人が注目した行動を繰り返す」と言うものがあり私はこの考え方は非常に有効だと考えています。つまり、「こだわり行動」を減らしたいと思うのであれば、大人は「こだわり行動」への注目を減らす必要があります。ここが非常に大切なところですが、「こだわり行動」以外の、行動に注目してあげることが効果的です。

「こだわり行動」を減らしたいと強く思うが故に、大人はその子どもの「こだわり行動」がいつ見られるのか等を気にして、「こだわり行動」に注目してしまいます。しかし、それ以上に大切なことは、「こだわり行動」が見られていない状況です。そのタイミングで大人が子どもと楽しく話をしたり、一緒に遊んだりして、注目してあげることが必要です。

「こだわり行動」を修正するためには

「こだわり行動」が見られていない時に、子どもに注目してあげることが何よりも大切ですが、一方で、「こだわり行動」自体にもアプローチをかける必要もあります。特に、本人や周囲が、その「こだわり行動」に困っているのであれば、何らかの対応が必要になります。

ここで大切なことは、「~してはだめ」という否定形で考えるのではなく、具体的にどうして欲しいのか、どういう行動が好ましいのか、どういう行動ならば周囲は受け入れられるのかを一緒に考えたり、教えていってあげることです。これは「こだわり行動」の修正に限りませんが、大人が子どもに話をする時に「ちゃんとしなさい」などの抽象的な指示では分かりにくく、「周りの人のことを考えなさい」と言われても自分は困っていないからとピンと来ない子もいます。

「こだわり行動」をやってはいけないではなく、どういう形に置き換えれば良いのかを教えてあげて、もし指定した行動が出たらすぐに褒めてあげることが大切です。初めからこだわり行動を0にするのを目指すよりも、少しずつ適応的な行動に置き換えていくという視点を大切にしましょう。

さいごに

大人が、子どもの「こだわり行動」について悩むことは当たり前のことです。一方で、「これは大変なことだ」と意識しすぎることで結果的に、その行動を強化してしまうこともあります。心配していることを伝えた上で、でもあなたなら大丈夫とか、あなたはあなたでいいんだよという、言語的あるいは非言語的なメッセージを送り、「こだわり行動」以外のところで、子どもとつながることを意識してみてはいかがでしょうか?

やまおさん

経歴:公認心理師 20年
児童福祉の分野で心理士をしています。発達障害児への心理教育や、虐待被害を受けた児童への心理ケア等を担当しています。

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