これからどんなお金がかかる?将来の備えはどれぐらい必要?

ライター:福祉FP3級*瀧澤伸夫

2024.06.28

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世の中の親御さんすべてに共通する心配ごと、子どもに関するお金の問題。特に発達障がいや発達特性がある場合、「支援にどれぐらいお金が必要なのか」「親なきあとに自立した生活ができるのか」「成人になってから仕事をしていけるのか」、心配の種は尽きないかもしれません。今のうちから把握できることや準備できることをしっておきたいですよね。そこで今回は将来について「生活」「仕事」「お金」という三つの視点に分けて解説します。

「生活」は在宅支援やグループホームがある

0歳から18歳までは主に児童福祉法にもとづく国の支援を利用しますが、成人になってからは障害者総合支援法にもとづく制度を利用することが一般的です。障害者総合支援法の制度では、障がいの程度を示す障害支援区分によって利用できるサービスは違います。ヘルパーさんが自宅に訪問する居宅介護というサービスの利用や、サポートを受けられる障害者支援施設や障がい者グループホーム(共同生活援助)などで生活する場合もあります。障がい者グループホームが多くの発達障がいがある方の利用が多いと言われています。そこから会社や障がい者就労系事業所などに通うという方も少なくありません。

「仕事」は特性にあわせた選択肢がある

昨今、仕事が続かない、失敗が多いなどをきっかけに「大人の発達障がい」が見つかる事が多いと言われています。ですが発達特性がある方でも自分らしく働ける環境が見つかれば、成人になってからも楽しく生活していくことが出来ます。また、企業に雇用される場合は大きく分けて一般雇用と障害者雇用の2つの形態があります。

一般雇用と障害者雇用の違い

一般雇用は障がいがない方と同じ雇用のされ方で、給与や出世などが期待できますが、勤務先からの障がいへの配慮はあまり期待できません。一方、障害者雇用枠で障がいがある事を前提に雇用される働き方です。障がいの特性にあった配慮が期待でき、障がいのある方にとって比較的働きやすい働き方と言えます。ただ、障害者雇用で働く場合は障害者手帳が必要であることから、利用できる方に限りがあります。また、「手帳は取得しているが障がいをオープンにしたくない」という方もいるでしょう。どちらの働き方もメリット・デメリットがあるので、子供が大人になったときの状態にあわせて、どの働き方がよいかじっくり考えていきましょう。

第3の選択肢・福祉的就労って?

知的障がいを伴う発達障がいがある方のなかには、一般企業の雇用で働くことが難しいという事もあるかと思います。そのような状況でも福祉的就労という選択があります。障害者総合支援法では就労継続支援というサービスがあり、雇用型のA型と非雇用型のB型に分かれています。

就労継続支援A型とは

福祉的就労でありながら最低賃金が支払われる就労方法です。雇用契約を締結したうえで、支援を受けながら一人ひとりの特性にあった仕事をしていきます。

就労継続支援B型とは

支援を受けながら無理のないペースで働ける就労方法です。雇用契約を結ばないので、仕事の対価としては最低賃金以下の工賃が支払われますが、障がいの程度が比較的重い方には適した働き方です。

「お金」は給与と障害年金で

最後はお金についてです。「今のうちから我が子にお金を残しておきたい」と考える親も多いでしょう。まずは現状の制度を確認してから今どのようにすればよいか考えてみましょう。

よく聞く障害者年金って?

障害年金制度は、病気やけがで障害が残り働くことが難しくなった場合に、国が支給するお金の制度です。20歳以上で障害等級が1級または2級(場合によっては3級)に該当し、一定期間、年金保険料を納めている人が対象です。支給額は、障害基礎年金の場合、1級で月約97,000円、2級で月約78,000円です。障害厚生年金は個別に異なり、3級でも支給されることがあります。この制度により、障害を持つ方が安心して生活を続けるための支援を受けることができます。

働くことで収入を得られる

一般雇用や障害者雇用、就労継続支援A型ならお給与が支払われます。一般的には障害者雇用の場合は平均20万~25万。就労継続支援A型であれば15万~20万と言われています。困らない程度の生活ならしていけるぐらいにはなります。ただ、給与だけでは急な出費に対応できないことを考えておく必要があります。もらったお金を少しずつ貯めていくという訓練を今のうちからご家庭でやっておくこともいいと思います。

福祉的就労をしながらでも障害年金はもらえる

障害年金は、前述の就労継続支援での給与・工賃を受け取りながらでも障害年金は受け取れます。発達障がいがある方の障害年金の金額を現行制度で確認する場合は、障害基礎年金の年額が参考になるでしょう。令和6年4月時点での障害基礎年金の年額は1級で1,020,000円(昭和31年4月2日以後生まれで子がいない方)です。決して多い金額とは言えないので、お金の面で保護者が今のうちからできることは備えていきましょう。

まとめ

今回は発達障がいや発達特性がある子の将来を、「生活」「仕事」「お金」という三つの視点に分けて解説しました。障害者総合支援法や年金の制度があるものの、公的なサポートだけでは不安に感じる発達障がい児の親が多いかもしれません。もし将来必要になってくるお金について今のうちから相談できれば不安が解消されるでしょう。そのような相談先の一つとして注目されているのがファイナンシャルプランナーです。お子さんの将来をライフプランの作成という形で一緒になって考えてもらえますよ。

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※写真はイメージです。

福祉FP3級*瀧澤伸夫

ライター。障害者支援施設での生活支援や地域包括支援センターでの相談支援などを約10年間経験。福祉FP3級・社会福祉士などの資格を保有。

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